イキウメ『片鱗』
《演劇》イキウメ 2013年秋公演
タイトル: 『片鱗』
作・演出: 前川知大
■■出演
浜田信也 安井順平
伊勢佳世 盛 隆二
岩本幸子 森下創
大窪人衛 清水葉月
■■日程・場所
[東京公演]
2013年11月8日(金)〜11月24日(日)@青山円形劇場
[大阪公演]
2013年11月29日(金)〜12月1日(日)@ABCホール
[福岡公演]
2013年12月7日(土)〜12月8日(日)@西鉄ホール
《片鱗》観劇後、ツイッターで即日連投した感想をまとめてブログ化しました。どうぞ お楽しみください☆☆☆
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《感想文:呪いの連鎖》
盛隆二氏のツイート
イキウメ2日目終了。本番を2回やってみて思ったけど、いつもと違う何かがすり減っていく感覚。前回の獣の柱とは真逆なのか。なんなのか。何が違うのかは全公演終わってもわからないんだろうな。きっと。
【演劇】イキウメ『片鱗』(1)
『片鱗』はご近所ものということで、まるでサザエさんを観ているかのような、ほんわかした空気が流れている、というのは表だけで、目に見えないところでは、「ああ、恐ろしい」
【演劇】イキウメ『片鱗』(2)
付言すれば、『片鱗』は、ご近所ものかつホラーものということでサザエさんがホラーになったと思ってもらえばいいのだけど、ホラーものということで言えば、前川知大の世界観が黒沢清の世界観と益々親和性を高めていると指摘できる。
前川知大氏のツイート
ホラーと銘打ってるところに、昨日は黒沢清監督が降臨。終演後にかけつけ平身低頭。監督はニコニコしてらした。
【演劇】イキウメ『片鱗』(3)
『片鱗』のモチーフが、「呪いの連鎖」ということだったけれど、これは黒沢清作品でしばしば見られるモチーフだ。
【演劇】イキウメ『片鱗』(4)
さて、この「呪いの連鎖」という世界観は新しいのか? 古いのか? と問われても何とも答えようがないけれど、2013年の今、前川知大がこのような世界を提示してきたことは興味深い。
【演劇】イキウメ『片鱗』(5)
善悪やじぶんの努力を超えた、どうにもならない力の存在、運命。「3.11後」と括ってしまうのは乱暴だと思うけれど、そう言えば、大江健三郎も『晩年様式集』を先日出した。
【演劇】イキウメ『片鱗』(6)
3.11に引きずられているというのではなく、芸術家の職能として、よのなかの、風の流れの変化を感知して書き綴るということがあるのではないか。そう言えば、先日観た宮崎駿の『風立ちぬ』もそうだった。
【演劇】イキウメ『片鱗』(7)
ここで言う、よのなかの変化を察知する力というのは、例えば、相場師なんかも持っていると思われる。ただ彼らは儲けることだけが目的であり、ゲームをやっているにすぎない。よのなかの動きがおかしいと感じても、儲かるならば、その流れを変えようとはしない。
【演劇】イキウメ『片鱗』(8)
だから相場師は芸術家と同じ能力を有していても、次元が一次元低い。このように芸術家=よのなかの変化を感知する力を有する者とすれば、その代表的存在としてシェイクスピアや夏目漱石がすぐにあげられる。
夏目漱石をゆっくり読みたい。
【演劇】イキウメ『片鱗』(9)
このような観点から芸術家について考えれば、夏目漱石や宮崎駿の作品分析を通じて、「国民作家とは何か」を再定義できるだろうし、前川知大という劇作家は、そういった感覚を持ち合わせているような気配があるので、これからも、観続けようと思う。
そらのふかさをのぞいてはいけない。
そらのふかさには、
神さまがめじろおししてゐる。
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金子光晴「灯台」より
『日本解放詩集』1950 /壺井繁治 遠地輝武 編
盛隆二氏のツイート
終わりが無いっつーか、完成形が無いってことですね。よくよく考えたら演劇なんて日々来るお客さんは違うわけだから完成形なんてこっちで決めるものではないのでしょうね。日々、日々。劇場。大切。感謝。
【演劇】(10)
イキウメの片鱗をみた(終)
《イキウメ過去上演作品の感想文》
劇評サイト《ワンダーランド》掲載
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