MCR『死んだらさすがに愛しく思え』






   




《演劇》MCR




タイトル: 『死んだらさすがに愛しく思え』



作・演出: 櫻井智也


■■出演


川島潤哉
  有川マコト



奥田洋平青年団・サンプル)
 澤唯(サマカト)



後藤飛鳥五反田団) 
堀靖明
  田中のり子


櫻井智也
  おがわじゅんや
  北島広貴


福井喜朗  
伊達香苗




■■スタッフ


舞台監督:門馬雄太郎
  舞台美術: 袴田長武


照明: 久保田つばさ  音響: 平井隆史


宣伝美術:これでよしを
 制作:塩田友克・MCR




■■日程・場所


2015年5月29日(金)〜6月2日(火)@下北沢 ザ・スズナリ






 《感想文:パパ》




【演劇】MCR『死んだらさすがに愛しく思え』(1)

   ヤバい!





【演劇】MCR『死んだらさすがに愛しく思え』(2)


MCRを観に行くときは、どこか懐かしい昭和な感じを求めていたり、あとはやっぱり「笑いたい!」という気持ちが強いのだけど、「いや、それだけじゃないんだよ!」って、それだけじゃない何かを求めている。



【演劇】MCR『死んだらさすがに愛しく思え』(3)


今回の『死んだらさすがに愛しく思え』はその何かが一気にスパークしたようで観劇後の興奮がなかなかおさまらなかった。面白いといったら不謹慎だけど、いや〜ヤバい☆



【演劇】MCR『死んだらさすがに愛しく思え』(4)


ぼくはよく知らなかったのだけど、ヘンリー・リー・ルーカスっていう連続殺人犯がモチーフになっているのだけど、殺人者の異常さを分かりやすく説明するのではなく、異常さの分からなさを突き詰めて行く。



【演劇】MCR『死んだらさすがに愛しく思え』(5)


例えば、秋葉原連続通り魔事件の犯人について、ワイドショーで、派遣労働者であること云々が理由であるというように言われていたけど、実のところ彼が何を考えていたのかよく分からないし、おそらく彼自身に聞いても分からないだろう。



【演劇】MCR『死んだらさすがに愛しく思え』(6)


このあたりの分からなさが人間の深淵ということになるのだろうけど、この深淵を垣間みようと思ったときに、適任なのが実は俳優という生き物。



【演劇】MCR『死んだらさすがに愛しく思え』(7)


この作品のミソは、ヘンリー・リー・ルーカスという殺人者の分からなさを炙り出す際に、俳優という生き物の分からなさをうまくシンクロさせているところだと思う。



【演劇】MCR『死んだらさすがに愛しく思え』(8)


ヘンリー・リー・ルーカスヘンリー・リー・ルーカスを演じた川島潤哉さんの顔が似ているというのは分かりやすいシンクロだけど(笑)、それもそうなんだけど、そういうことじゃなくて…



【演劇】MCR『死んだらさすがに愛しく思え』(9)


今回登場人物の名前が、俳優の名前そのままだったのだけど、おそらくこの戯曲を書いた櫻井智也さんは、登場人物に俳優をあて書きしている。


【演劇】MCR『死んだらさすがに愛しく思え』(10)


俳優っていう生き物は個性的で、みなイメージを持っている。でもそれが演じられたものなのか? 素なのか? 分からない。



【演劇】MCR『死んだらさすがに愛しく思え』(11)


俳優自身も演じている自分と演じていない自分、舞台に立っている自分と私生活のときの自分、どっちが本当の自分なのか? 本当の自分なんているのか? もう分からないんじゃないか?



【演劇】MCR『死んだらさすがに愛しく思え』(12)


例えば、今回は奥田洋平さんが出ていて、彼は青年団五反田団やサンプルで何回も観たことがある。生真面目な好青年というイメージの俳優だけど、かなり曲者。



【演劇】MCR『死んだらさすがに愛しく思え』(13)


奥田さんは、五反田団やサンプルの作品に出る時は、「えっ、この人、こんなバカなことするの?」という生真面目さのイメージをズラされて、そのギャップに思わず笑ってしまう。



【演劇】MCR『死んだらさすがに愛しく思え』(14)


でも奥田さんは、実はこの生真面目さを突き詰める方がヤバいんじゃないかって思ってた。で、今回、櫻井さんはそれをやった。奥田さんの生真面目さのイメージをズラすんじゃなくて突き詰めたら、こうなるよね。ヤバいよね。



【演劇】MCR『死んだらさすがに愛しく思え』(15)


それから後藤飛鳥さんも。後藤さんは永遠の少女というイメージがあって、そのイメージをズラされる演出の作品がけっこうあってやっぱり思わず笑ってしまう。



【演劇】MCR『死んだらさすがに愛しく思え』(16)


けど、実は後藤さんの場合も後藤さんの純粋さ、ピュアさを突き詰めた方がこわいんじゃないかって思ってた。で、櫻井さんはそれをやった。結果、純粋さの純粋である所以がわからなくなって、殺人者以上にこわかった 汗。。。



【演劇】MCR『死んだらさすがに愛しく思え』(17)


あと有川マコトさんの胡散臭いイメージも、ズラすのではなく、胡散臭いまんま走らせたらヤバいだろって思ってたら、櫻井さんはそれをやった。結果、うさん臭さがオーバードライブして救いようがなくなった…



【演劇】MCR『死んだらさすがに愛しく思え』(18)

いや〜、今回はヤバいです☆


時計じかけのオレンジツインピークスが同時に襲って来たようだ!














   MCR過去公演 《感想文》




言うなればゲシュタルト崩壊













阪根タイガース


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