劇団野の上『東京アレルギー』






   


《演劇》劇団野の上




タイトル: 『東京アレルギー』



作・演出: 山田百次


■■出演


赤刎千久子  斉藤祐一(文学座) 中田麦平(シンクロ少女) 


仲坪由紀子  成田沙織  堀夏子(青年団


松本哲也(小松台東) 山田百次


山村崇子(青年団) 和田華子



■■スタッフ


舞台美術:鈴木健介(青年団) 照明:井坂浩(青年団


音響オペレーター:平間宏忠


制作:赤刎千久子 


舞台監督・宣伝美術:河村竜也(青年団



■■日程・場所


2015年8月10日(月)〜8月16日(日)@こまばアゴラ劇場






 《感想文:たげ》




【演劇】劇団野の上 『東京アレルギー』(1)

俳優の堀夏子さんが「えっ!?」と度肝を抜かれるくらいぶっ飛ばした演技をしていた(汗)。青年団でも今日のように希望をもって、オリザさんを絶望させるくらいの演技を期待したい☆





【演劇】劇団野の上 『東京アレルギー』(2)


それはさておき、今回は山田百次さんの作品を観たくて行ってきた。本当は2月に公演のあった青年団リンク・ホエイの『雲の脂』を観に行きたかったのだけど、仕事でいけなかったので、今回が初百次作品。



【演劇】劇団野の上 『東京アレルギー』(3)


山田百次さんに興味をもったのは、昨年末、俳優の川村紗也さんが主宰する公演『山笑う』での演技が印象的だったからだ。



【演劇】劇団野の上『東京アレルギー』(4)


『山笑う』で百次さんの演じた人が、ぼくの元上司にそっくりで僕のなかにストンと入ってきた。ちなみにその上司は福井県出身で、百次さんは青森県出身らしく、このときは宮崎県の人を演じていた。共通点なし???



【演劇】劇団野の上『東京アレルギー』(5)


山田百次さんが俳優として出演していた『山笑う』の感想


↓↓↓


こちら



【演劇】劇団野の上『東京アレルギー』(6)


『山笑う』は、今回出演している松本哲也さんが書いた作品で、松本さんは宮崎出身の劇作家で、宮崎を強く意識した作品を書いていて、『山笑う』も宮崎弁で書かれていた。



【観劇】 劇団野の上『東京アレルギー』(7)


宮崎を強く意識しているということは、裏返せば東京も強く意識している。『山笑う』では東京と宮崎に流れる時間のズレが強く感じられた。



【演劇】 劇団野の上『東京アレルギー』(8)


対して『東京アレルギー』は松本哲也さんではなく、山田百次さんが書いた作品で、百次さんの出身地である青森が強く意識されていて、同時に東京も強く意識されている。松本作品同様に方言で書かれているのだけど、津軽弁は宮崎弁とは感触が全然違う。



【演劇】 劇団野の上『東京アレルギー』(9)


宮崎弁は地方の言葉(方言)という感じで受けとめていたのだけど、津軽弁は方言というよりも、異国という感じがした。日本の地方ではなく、中国や北朝鮮から受ける感触に限りなく近かった。


【演劇】劇団野の上『東京アレルギー』(10)


これは青森の地方色なのか? それとも百次さんの演出色なのか? 何とも言えないけれども、この感触は新鮮だった。



【演劇】 劇団野の上『東京アレルギー』(11)


松本さんの『山笑う』と百次さんの『東京アレルギー』を続けて観ると日本の地方が強く感じられ、「東京/地方」の対比を強く意識する。ただ『東京アレルギー』は「東京/地方」がもうぐじゃぐじゃに混ざり合っていて、対比構造とは言えない。



【演劇】 劇団野の上『東京アレルギー』(12)


話は逸れるけど、きのう甲子園球場高校野球を4試合も観てきたが、以前に比べて地方色、郷土色というのをほとんど感じなくなった。全国大会というワクワク感はあるのだけど、○○県という固有性を意識することはなくなった。



【演劇】劇団野の上『東京アレルギー』(13)


つまり裏返せば、もうかつてのように東京を意識することはほとんどなくて、「東京/地方」の対比ではなく、「都心/郊外」の対比しかなく、地方は郊外の延長上にあるというか、すっかり同化してしまっている。



【演劇】劇団野の上『東京アレルギー』(14)


きょう『東京アレルギー』を観劇していて感じていたのも「東京/青森」の対比ではなく、なんて言うんだろう? 個人レベルの居場所の問題であり、「居場所がない問題」であり、居場所がないことから派生する職業であったり、宗教であったり、 、、



【演劇】劇団野の上『東京アレルギー』(15)


劇中、キリスト教を冒涜するようなシーンもあったけど、同じ宗教という括りでも、民俗信仰とキリスト教とは全然ちがう。それを思えば、確かにキリスト教は都合よく利用されているという印象は拭えない。



【演劇】 劇団野の上『東京アレルギー』(16)


このように山田百次作品は、宗教に対する意識、宗教観が独特で、これは青森に由来するのかもしれない。青森はイタコの存在とか、神様やあの世との距離感が独特なのかもしれない。



【演劇】劇団野の上『東京アレルギー』(17)


さて、思った事をただただ書き綴ってしまったが、そろそろまとめ。観劇前は『東京アレルギー』というタイトルから、黒沢清の『トウキョウソナタ』などと結びつけて論点を抽出しようとしていたのだけど、実際観劇するとこれはちょっと違うと思った。



【演劇】 劇団野の上『東京アレルギー』(18)

主人公の女性・観音林まりあが、あまりにも可哀想過ぎて、ぼくのなかで位置づけできなくなってしまった。強いて位置づけるとすれば、先も言ったけど中国や北朝鮮の女性。例えば、ジャ・ジャンクーの描く女性とは相通じるような気がする。




【演劇】 劇団野の上『東京アレルギー』(19)

う〜ん、僕のなかで『東京アレルギー』はまだ収拾がつかないので、まとめることは放棄しよう。




【演劇】 劇団野の上『東京アレルギー』(20・終)

ひとまず、『雲の脂』のDVDを買ったので観てみよう。それからジャ・ジャンクーの映画をもうちょっと観てみようかな。中国という視点で引き離して観るのではなく、もっと身近に感じながら観てみようと思う。












阪根タイガース


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