小松台東『想いはブーン』






    




《演劇》小松台東




タイトル:『想いはブーン』



作・演出: 松本哲也


■■出演


山像かおり文学座


瓜生和成(東京タンバリン)


細見大輔


異儀田夏葉(KAKUTA)


佐藤達(劇団桃唄309)


森谷ふみ(ニッポンの河川)


山田百次(劇団野の上/青年団リンク ホエイ)


尾倉ケント


小園茉奈(ナイロン100℃


松本哲也(小松台東)



■■スタッフ


舞台監督:橋本慶之 内山清人(サマカト)


照明:南香織


音響:星野大輔


演出助手:遠藤弘章(東京タンバリン)福名理穂(ぱぷりか)


宣伝美術:土谷朋子(citronworks)


制作:塩田友克 小松台東


企画・製作:(公財)三鷹市芸術文化振興財団



■■日程・場所


2015年10月2日(金)〜12日(月・祝)@三鷹市芸術文化センター 星のホール






 《感想文:宮崎の女(ひと)》






【演劇】小松台東『想いはブーン』(1)

いい作品だった。ブーンというか観客のぼくにはジーンときた。きょうのMVPはやっぱり三女の理奈を演じた異儀田夏葉さんかな。この人と心に決めた女の強さ。その想いが通じて男が飛び立つ!ブーン!!




【演劇】小松台東『想いはブーン』(2)

松本哲也さんの作品は、ぼくかわの『山笑う』につづいて2度目の観劇。その時の感想文アップしておきます。




   《感想文》

僕たちが好きだった川村紗也『山笑う』




【演劇】小松台東『想いはブーン』(3)

『山笑う』も今回の『想いはブーン』も宮崎弁で繰り広げられるという点では同じ。ただ『山笑う』は宮崎に流れる時間/東京に流れる時間の対比、とにかく「時間」をすごく感じた。 対して『想いはブーン』で感じられたのは、人びとの「含み」。




【演劇】小松台東『想いはブーン』(4)

宮崎のとある電気工事会社の詰め所が舞台となってドラマが繰り広げられる。ある地方のある小さな会社に関わる職人や家族。そこに留まるという生き方を選んだ、選ばざるを得なかった、あるいは出たけど戻ってきた人びと。男と女。





【演劇】小松台東『想いはブーン』(5)

宮崎に限らず、電気工事、設備工事、建築工事、いわゆる建設業はゼネコンが小さな会社を束ねて動く。ゼネコンは海外展開などドラスティックな改革も時にはするけれども、下請け会社は規模も小さいし、コツコツと会社と地場を守って行くというスタンス。




【演劇】小松台東『想いはブーン』(6)

そういった変化の少ない、その場に根ざした会社、そこに関わる人びとの特徴。結婚が早い。出産も早い。40代でおばあちゃんになることもざらにある。一方、離婚も多い。再婚も多い。案外、独身も多い。




【演劇】小松台東『想いはブーン』(7)

人間関係が表面的にはすっきりしているのだけど、裏ではけっこう複雑な事情になっていて、表面に出てこない「含み」が醸成される(ま、東京のオフィスでも似たようなものかもしれないけれど)。




【演劇】小松台東『想いはブーン』(8)

あと職人の世界は仕事ができるできないがはっきりするから、仕事ができない人に対する風当たりがすごくキツい。1つの現場が竣工するまでに、できない人はどんどん辞めていく。仕事が身に付けばよいのだけど、身に付かなかったら居場所がない。




【演劇】小松台東『想いはブーン』(9)

さらに、ここに男と女の関係が絡んでくる。仕事ができる人が男女関係もスムーズにいっているとは限らないし、仕事ができない男を好きになる女もいる。夫婦の仲がよくて家庭をちゃんと守ろうとしている人もいる。 片思いの人。なにかとチャチャを入れる人。




【演劇】小松台東『想いはブーン』(10)

男も女もいろんな人がいて、それぞれに、それぞれの「含み」がある。それが複雑に絡み合って、こんがらがって、はっきり言ってうまく行っていないのだけど、




【演劇】小松台東『想いはブーン』(11)

男と女のそれぞれの想いが確かにあって、それがなんやかんやいって、巡りめぐって、例えるならば、プロペラ機のエンジンがブルンブルルルンってかかって、ブーーーーーーーンと飛び立っていくような感触が、この電気工事会社にはある。よくわからんけど 笑










【演劇】小松台東『想いはブーン』(12)

小松台東(松本哲也さん)の作品は、青年団平田オリザさん)に対する良い意味でのアンチテーゼになっているように思う。オリザさんの作品は既存の演劇の良きアンチテーゼになっているけれども、やはり違和感がある。




【演劇】小松台東『想いはブーン』(13)

オリザ作品が静かな演劇と呼ばれるのはいいのだけど、その静かさがナチュラルではなくて、どこかオリザさんの生理感覚にコンパクトに納め込まれてしまっているような気がして、観劇中、あの場をぶち壊してやりたいという衝動にかられる時がある。




【演劇】小松台東『想いはブーン』(14)

対して、小松台東は宮崎弁、地方色を前面に押し出しているので、やや人情劇、ベタになってしまっているきらいもあるけど、演劇だから声を張り上げるわけではなくて、宮崎(九州男児)特有の気性の荒さが声を張り上げさせる。




【演劇】小松台東『想いはブーン』(15)

松本哲也作品にみられる、自らが自らの場をぶち壊すような、あの振る舞いが、ズキズキして頭が痛くなるようなこの上ない不快感を呼び覚ましつつ、が、しかし、なんかすこぶる快感☆




【演劇】小松台東『想いはブーン』(16)

そのぶち壊し役が松本哲也さん演じる井戸潤、いや今回は、異儀田夏葉さん演じる理奈(三女)であり、山像かおりさん演じる薫(長女)であり、森谷ふみさん演じる麻耶(次女)であり、そして忘れてはいけない小園茉奈さん演じる美来(薫の娘)だった。




【演劇】小松台東『想いはブーン』(17)

そして、異儀田夏葉さん演じる理奈(三女)がやっぱり一番印象に残った。振り返れば理奈が主人公であり、この小さな電気工事会社を取り巻く、様々な男女すべてをこの理奈が体現していたように思う。強さも弱さも優しさも厳しさもすべてを持ち合わせていたように思う。あれが宮崎人なのかー




【演劇】小松台東『想いはブーン』(18)

宮崎の女(ひと)ってああいうかんじなんかー ええなー☆




【演劇】小松台東『想いはブーン』(19・追記)

あと別の意味で一番印象に残ったのは、小園茉奈さん演じる美来っていうか、小園茉奈さん。かわいらしい女優さんやってんけどなー、いやー、まー、あのー、そのー、小園さんのファンは見ないほうがいいかもです。はい、いや、是非!!(笑)。








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