ポツドール『愛の渦』
《第1版》(2009年2月25日)
タイトル: 『愛の渦』
脚本・演出: 三浦大輔
■■出演
米村亮太朗 富田恭史 岩瀬亮 古澤裕介 美館智範
井上幸太郎 脇坂圭一郎
■■スタッフ
照明:伊藤孝(ART CORE) 音響:中村嘉宏
舞台監督:矢島健・シロサキユウジ 舞台美術:田中敏恵 大道具製作:夢工房
映像・宣伝美術:冨田中理(SelfimageProdukts)
小道具:大橋路代(パワープラトン) 衣装:中西瑞美
照明操作:櫛田晃代 音響操作:井川佳代 演出助手:石井友章
写真撮影:曳野若菜 映像撮影:カラーズイマジネーション
宣伝イラスト:桔川伸 宣伝協力:青木理恵 衣装協力:水川奈津美
制作:木下京子 広報:石井裕太 運営:山田恵理子
制作助手:安田裕美・石井舞・村松佑香
■■日程・場所
2009年2月19日(木)〜 3月15日(日)
■■チケット販売
※当日券は、全ステージ開演1時間前より劇場受付で販売されるようです。
詳しくは、こちらをご参照ください。
《感想》
不純な動機も100%なら純粋なんだ!
三浦さん、これもらっていいっすか?
さて。かのポツドール2回目行ってきました。去年の『顔よ』のこと、今でも鮮明に覚えております。観劇後ロビーのベンチでしばらく、うつむいたまま固まっていたのでした。当時は観劇後必ず感想を書くと決めていて、でもこの時はさすがにやめようかと思ったのですが、「ここで書かなかったら負けだ」と言わんばかりに、最後の力を振り絞って書いたのでした。
ぐったりした。なんとか立ち上がって出口へ向かい、スタッフの女の子に手渡そうとしたら、その子は「あっ!この人、感想書いてくれたんだ!」と満面の笑みで迎えてくれて、受け取るとすぐに感想をチェックしたみたいで、そして、すごくがっかりした様子でした。
「おい、ちょっと待て。貴様いったいオレに何を期待していたんだ! こんなもん見せといて感想もクソもないだろ!!」
と声に出しては言いませんでしたけど、そう思っておりました。いやいや、それ以前に「こんな作品の上演後に、なんで可愛らしい女の子が笑顔でアンケート用紙を回収しているんだ!?」とぞっとした次第であります。
下北沢のプラットホームで遠くを眺めながら、僕はたばこは吸わないけれど、たばこを吸う人が煙をふうぅぅぅーって吐くような、そんな感じで呆然と突っ立って電車を待っていたことを昨日のことのように思い出します。
さてさて。そんなこともありましたので本日は人間らしく、ちゃんと学習して行って参りました。
一つ 観劇3時間前は何も口にしないこと
ま、それだけですが、早めに劇場入りして、座席を確かめ、トイレにもちゃんと行って、あまりしたくもないのに念のため大きいほうもやって、ストレッチして、目薬さして、そして幕開きを待ったのでした。
で、思った通りの作品で、どんなって、う〜ん、つまりキン○マが10回ぐらい見えたような作品なのですが、今回は2回目だったからでしょうか? 準備万端だったからでしょうか? いい作品でした。そう感じました。 いや、一応断っておくと、「僕」はそう思いました。僕のとなりの人は終わるとすぐにパンフレットを放って飛び出していきました。繰りかえします。
《僕》にとってはいい作品でした。
はて?
パンフレットのなかで岩松了さんが、この作品を「小品」とおっしゃってましたが、そうかもしれません。あ、前回の『顔よ』について「感想なんか書けるか!」みたいなことをつらつらと書きましたが、それにはもう一つの意味があって、「確かによく出来ているけど、そんなことアンケートに書いて欲しいわけじゃねーよなー」ということでもありました。
『顔よ』は、劇作としては非常によくできた傑作でした。舞台の空間デザイン、ストーリーの構成、同時多発の仕掛け、etc. 一つのアタマではとても処理できない程、緻密に練り込まれた大作なのでした。三浦大輔恐るべし!そう思った次第であります。
だから、それに比べると『愛の渦』は、作品の規模としては「小品」と言えるかもしれません。
ただ、『愛の渦』はドキュメンタリーというか、実際の取材を元に構想されていることもあって、『顔よ』以上にストレートにこちら側へ入ってきます。最初はさすがに観ている方もちょっとはずかしいのですが、第2ラウンドぐらいからは、「おおっ、アイツに行くか! ほっほー、またアイツとか!」みたいな感じで、舞台上で展開される動きと、こちらの心の動きがスムーズに合ってきて、途中「あーあ、やっちゃった」みたいなシーンもありますけど、それもご愛嬌という程度に流してしまって、終始、ヴィジュアル的には過激に違いない、その表現がそうでもないように受けとめられたのでした。
いい作品だな、って思いました。お茶の間で観てもいいような、こたつに入ってみかんを食べながらサザエさんを観ているような、そんなふうにさえ思えました。
ごくふつうにいい作品だと思いました。
P.S.1
もちろんテレビなんかでは絶対に放映できません。
P.S.2
最後の朝のシーンがなかったら、やっぱりダメだったかもしれません。
※ photo by montrez moi les photos
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