FICTION『ディンドンガー』
《初版》(7月22日)
タイトル: 『ディンドンガー』
作・演出: 山下澄人
■■出演
小林由梨 大島未由希 福島恵
佐久間麻由 まさと
■■スタッフ
照明:高橋秀彰 音響:別所ちふゆ
舞台監督:清水浩志 衣装・小道具:mario
宣伝美術:西山昭彦 音楽:山下澄人
タイトル手伝い/ホームページ:ハタノユリエ
FICTION受付ガールズ:大木祐子 井上まさみ 三浦かなこ 渡辺典子 伊藤りえ 小谷織絵
お手伝い:バタヤン 大西康雄 大山健 多田明弘
佐藤紫衣那 岡野大生 露木友子 榎本由紀 他
■■日程・場所
2009年7月22日(水)〜26日(日)
東京 @新宿シアターモリエール
2009年9月6日 旭川 @シアターコア
2009年9月9日〜13日 札幌 @シアターZOO
■■チケット販売
感想文:《こんな感じ》
山下澄人さんと白迫久美子さんが昨年やった保坂和志先生のトークイベントに来てくださって、打上げで話したときに、演劇人特有のあたたかさを感じて、どんな演劇をやっているのかは全く分からなかったのだけど、「この人たちのつくる演劇は観に行くべし!」と悟っていたので、今日行ってきた。
FICTION『ディンドンガー』を観劇。「感激した!」「面白かった!」とは、簡単に言えない。きわどい。終演後、白迫さんに「FICTIONはいつもこんな感じなのですか」と尋ねたら「今回は特にこんな感じなんです」と言っていた。はい、《こんな感じ》の作品でした(笑)。って、どんな感じやねん。だから、こんな感じやってゆーてるやろ!!!
たとえば、宮崎駿の『もののけ姫』を連想したとか、弱者を描いているということで言えば《村上春樹ワールド》について考えた、なんてことも言える。ただ宮崎作品や村上作品がヤバイことを描いていても、健全な青少年に見せたり、読ませたりしてもOKなのは、宮崎さんや村上さんが見せてはいけない部分を事前に判断して、バッサリカットしているからだし、なによりもお二人の絶妙な味付け、テイストに負うところが大きいように思う。彼らの作品をざっくり粗削りにやったら、間違いなくNGだ。
ではFICTION(山下澄人)はどうかと問えば、宮崎さんや村上さんに見受けられるテイストに因るのとは明らかに違う。FICTIONは露骨にヤバイ。さすがに村上さんはここまで露骨に描かない。もちろん、山下さんだって事前に判断して(無意識であっても)描いてはいけないところはカットしている。そして改めて言えば、FICTION(山下澄人)の《こんな感じ》が成立している所以は、まずは「演劇だから」であり、また何よりも、これは山下さんや役者陣に「愛情があるから」だろう。
僕も山下さんと同じ神戸の出身であり、大阪弁を喋る。東京に出てきてもう10年を超えるのに、自分では標準語を話しているつもりなのに、レジに立っているとお客さんに「関西の人ですか」ってよく言われる。でも、これはアクセントの話であり、大阪弁の本当の部分はもうほとんど抜けている。間合いとか愛らしさとかがもう僕の大阪弁にはない。他方、山下澄人さんの大阪弁は根っからの大阪弁だ。愛情たっぷりだ。気性が荒いのも、そしてユーモアがあるのも。
FICTIONの《こんな感じ》を成立させているのは、山下澄人の大阪弁にあるとみた!山下さんの大阪弁を聴くだけでもチケット代のもとを取れると思う。
ハッキリ言って、FICTION『ディンドンガー』に言葉はいらない。
みなさまもぜひ、実際に観てみてください。
チケットは、こちらからお求めください。
「主よ、みもとに近づかん」(『ディンドンガー』劇中コーラス)
※ photo by montrez moi les photos
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