二騎の会『雨の街』
《演劇》二騎の会
タイトル: 『雨の街』
作: 宮森さつき
演出:多田淳之介
■■出演
■■スタッフ
舞台美術:鈴木健介
照明:山岡茉友子
演出助手:笠島清剛 濵中 峻
宣伝美術:宇野モンド
制作:二騎の会
制作協力:服部悦子
芸術監督:平田オリザ
■■日程・場所
2013年5月10日(金)〜 5月19日(日)@こまばアゴラ劇場
《感想文:目》
【演劇】二騎の会《雨の街》(1)
あれだけ晴れていたのに、そこは雨であった。
【演劇】二騎の会《雨の街》(2)
宮森さつきという戯曲家を意外と知らない人が多いのだが、ポスト平田オリザの最右翼だと、わたしは思っている。
【演劇】二騎の会《雨の街》(3)
宮森は、平田のスタイルを継承している。良い意味でも悪い意味でも。いわゆる平田チルドレンの作家では珍しく、構成がしっかりとした描き方をしていて、それでいて平田とは異なる癖、ディテールを有している。
【演劇】二騎の会《雨の街》(4)
本作『雨の街』が意外だったのは、あれだけ構成がしっかりしている戯曲であるにも拘らず、どことなくヴァージニア・ウルフの小説を読んでいるような時間が漂い出したことだ。これは平田の戯曲では経験したことがない。
【演劇】二騎の会《雨の街》(5)
本作では、おそらく「雨の街」という、その街の特異さに目が奪われると思われるが、むしろ、そこにいる男(大竹直)と女(佐山和泉)にこそ、目を向けるべきだろう。
【演劇】二騎の会《雨の街》(6)
前作『四番倉庫』で、菅原直樹が演じてた青年と今回、大竹直が演じる男は繋がっている。両者とも、何もかも誰もかもを信頼できない。前者は不遇な人生がそうさせ、後者は置かれている状況がそうさせる。
【演劇】二騎の会《雨の街》(7)
『四番倉庫』の終盤で、「おい、食う?」「えっ」というたった二言のやり取りがある(手元に台本がないので正確ではないが)。この「えっ」というこのたった一言を答える菅原の演技にこの作品の全てがあった。
【演劇】二騎の会《雨の街》(8)
『雨の街』で、男・大竹直の細部というのは「目」だ。大竹の目だけをみていたら、この作品の全てが見えると言っても過言ではない。
【演劇】二騎の会《雨の街》(9)
とりとめのないやり取りが、淡々と、延々と繰り返される、それは時間が流れるというよりも漂うという感触だ。実際、ほとんどの客が催眠術にかかったように、うつらうつらとしていた。時間がとまっているようだった。だがしかし、意識は流れ、移ろう。
【演劇】二騎の会《雨の街》(10)
これ以上は言わないが、このあたりの意識の移ろいの描き方が、平田にはない、宮森独自の細部だと言えよう。
【演劇】二騎の会《雨の街》(11)
付言すれば、男・大竹直の意識の流れは比較的容易に見えるのに対して、女・佐山和泉の意識の流れは、一見ないように感じられる。しかし、本当に微妙だが、詳細に演技されている。
【演劇】二騎の会《雨の街》(12・終)
家に帰り、『四番倉庫』の台本を引っ張り出して確認すると例の箇所はこうだった。
「何飲む?」 「?」
二騎の会 過去作品の感想
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