イキウメ『獣の柱』
《演劇》イキウメ 2013年春公演
タイトル: 『獣の柱 まとめ*図書館的人生(下)』
作・演出: 前川知大
■■出演
浜田信也 盛 隆二
岩本幸子 伊勢佳世
森下創 安井順平
加茂杏子 大窪人衛
■■日程・場所
[東京公演]
2013年5月10日(金)〜6月2日(日)@シアタートラム
[北九州公演]
2012年6月9日(日)@北九州芸術劇場 中劇場
[大阪公演]
2012年6月13日(木)〜6月16日(日)@ABCホール
《獣の柱》観劇後、ツイッターで即日連投した感想をまとめてブログ化しました。どうぞ お楽しみください☆☆☆
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《感想文:共同体って?》
【演劇】イキウメ《獣の柱》(1)
数年前に観劇した隕石にまつわるショートストーリーがとんでもないことになっていた。それ以上に浜ちゃんがとんでもないことになっていた(笑)。
【演劇】イキウメ《獣の柱》(2)
一番注目したいのが、イキウメの創作活動の軌跡というか、ここ数回いろいろと実験的なことをやっていて、例えば演出家を外部から招いたり、俳優を組分けして競演させたり、過去の作品のシミュレーション(サンプリング・カットアップ・リミックス)をやってみたり…
【演劇】イキウメ《獣の柱》(3)
どちらかと言えば、ここ数回は「形式」のトライが多かったのだけど今回は「内容」におけるトライ。これがトライというか、かなり手応えのある完成度の高いものとして出てきた。
【演劇】イキウメ《獣の柱》(4)
「リアル/フィクション」という問題があるとして、例えば神話や聖書はどうか? 今となれば事実確認ができないのだから単なる本であり、フィクションと言えばそれまでだろう。ただ、これが現に人々に影響を与えているとなると単なるフィクションではすまされない。
【演劇】イキウメ《獣の柱》(5)
それに聖書や神話の影響力には遠く及ばないけれども、1本の戯曲であってもひとたび上演されれば、人々に、よのなかに何かしらの影響を与える。
【演劇】イキウメ《獣の柱》(6)
少なくとも戯曲を書いた本人においては1本の戯曲を書いたらそれで終わりではなく、それがまた次の始まりとなる。新たに書かれた戯曲であっても、過去の作品の何かしらが顔をのぞかせるということはしばしばある。
【演劇】イキウメ《獣の柱》(7)
しかもそれが劇作家、イキウメで言えば前川知大の頭のなかだけで完結した単なる妄想かと言えば、そうではなく、前川自身、東日本大震災、原発、TPPといった問題の影響を受けているし、また逆に前川の戯曲がそれらの諸問題に影響を及ぼすこともあろう。
【演劇】イキウメ《獣の柱》(8)
それから思い出したけど、例えば『オイディプス王』で、怪物が「朝は4足、昼は2足、夜になると3足になるものとは何か?」という問題を出して、それを解けない人々を苦しめていたけれども、
【演劇】イキウメ《獣の柱》(9)
答えを知っていれば、「なんで分かんないんだよ。人間ってバカだなー」って思うけれども、今、実際に起こっている問題ってこういうことじゃないの?「なんで分かんないんだよ。バカだなー」っていう。こういう繋がり方もある。作品は単なるフィクションではない。
【演劇】イキウメ《獣の柱》(10)
今回の『獣の柱』は、そういった様々な物事が複雑に絡み合いながら生成され、1つの作品として結集し、上演され、そしてまた四方八方へと分散してゆく。
【演劇】イキウメ《獣の柱》(11)
イキウメの創作活動は、軌跡という過去の遺物のようなものではなくて、有機的なメカニズムとして作動している。そしてこの彼らの活動自体が「リアル/フィクション」、そして作品のもう一つのテーマである「共同体」にも絡んでくる 。
【演劇】イキウメ《獣の柱》(12)
「共同体」ということで言えば、村上春樹の新作を読んで「ああ、この人もそうなのか」と思ったし、大江健三郎もずっと「共同体」について書いていると思うし、スタンスの全然違う保坂和志さんもそうだと感じる。
【演劇】イキウメ《獣の柱》(13)
今、小説家の名前がずらずらっと出てきたけれども、確かに小説家も筆一本で食っているから芯があるけれども、「共同体」となれば、劇団、例えば唐組などの方がピンとくる。
【演劇】イキウメ《獣の柱》(14)
そういった今名前をあげた人々とは別に、イキウメ(前川知大)であったり、東京デスロック(多田淳之介)にも「共同体」を感じる。そして彼らの「共同体」観というのは、先にあげた人々とはやはり違うと感じる。
【演劇】イキウメ《獣の柱》(15)
すみません。ちょっと全然違う方向へ話がいってしまったようですが、『獣の柱』は作品として好きです。重いと言えば重い、単なる娯楽で済ますことはできませんが、見応え十分なので皆様もぜひ!
《イキウメ過去上演作品の感想文》
劇評サイト《ワンダーランド》掲載
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