FUKAIPRODUCE羽衣『イトイーランド』
《演劇》FUKAIPRODUCE羽衣 第20回公演
タイトル: 『イトイーランド』
プロデュース: 深井順子
作・演出・音楽: 糸井幸之介
■■出演
深井順子 キムユス
鯉和鮎美 日高啓介
高山のえみ 高橋義和
新部聖子 大鶴佐助
幸田尚子 岡本陽介
浅川千絵 澤田慎司
■■スタッフ
プロデュース:深井順子
作・演出・音楽・美術:糸井幸之介
振付:木皮 成(DE PAY'S MAN)
舞台監督:上嶋倫子(至福団)
照明:松本永(eimatsumoto Co.Ltd)
音響:佐藤こうじ(Sugar Sound)
衣装:みのもまりか(呆気衣)
演出助手:中村未希 芳野里子
宣伝美術:林弥生
題字・宣伝写真:糸井幸之介
記録映像:杉田協士
記録写真:金子愛帆
制作:坂田厚子 林弥生 大石丈太郎
■■日程・場所
《感想文:古代ギリシアの観劇ってこんな感じだったのかも?》
イトイーランド!!
糸井嘉男選手(オリックス・バファローズ)
『イトイーランド』というタイトル、ということは今回はオリックスの糸井選手が出てくるのか! と楽しみにしていたのだが、最後まで出てこなかった。残念だ。
ま、そんなことを期待していたのは野球マニアのオレだけかもしれないけど、この前の『よるべナイター』には代打で古田選手が本当に出てきたんだぞ! 嘘じゃないってば!
ほらっ!
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さて、オレの推測が単なる憶測ではないということが証明できたところで本題。んっ!? じゃ、タイトルの「イトイー」って何だ?
パンフレットにも書いてあるけど、作者の名前なんだって。
あっそ。つまんねーのー
あっ、そうそう。この前、キャビンアテンダントの人に聞いたのだけど、ディズニーのキャラクターってみんな名前が「ィー」で終わるんだって。「ィー」って発音すると口角が上がって自然と笑顔になるんだって!
ミッキー!
ミニー!
って、「ィー」でおわるのこれだけだけど、
イトイー!
ってのもいい名前だね!
そんで、僕がイメージしたのはこれ!
イトイーランド!!
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しかし現実は厳しかった。《イトイーランド》は《ディズニーランド》のような夢の国ではなかった。確かに夜景は綺麗だったけど、《イトイーランド》は甘く、切なく、苦しく、そして、もう一度甘く! いや、苦しく。
《イトイーランド》は壮大なる《恋物語》であった。幻想的な月夜のシーンから始まり、そこで繰り広げられたのは月と地球と太陽の三角関係。《愛》は国境どころか大気圏を超えて、はるか彼方、宇宙まで引き寄せ合っていた。そして時は遥か昔、太古の世界にまで及んだ。《愛》は、人類がまだ誕生していない、そんな世界にも存在していた。
《イトイーランド》で繰り広げられる物語は、些細な日常の光景かもしれないけれど、このように時空を超えた壮大なスケールで描かれたら、これはもう人びとの世界を超えて、まるで神話の世界のように思えてしまう。
描かれていたテーマは、
不倫!
もっとストレートに言えば、
セックス!
《ディズニーランド》ではタブーであり、《善悪》で言えば《悪》であり、《聖俗》で言えば《俗》である。このテーマを近視眼的に描くならば、せいぜい《失楽園》といったところだろうが、ここまで壮大に描かれてしまうと単に善悪の問題でも聖俗の問題でもなくなってしまう。
観劇後、はっきり言ってスッキリとした気持ちにはなれなかった。一瞬、不倫を肯定されたような気持ちにもなったのだけど、そういう訳じゃないよな、セックスって気持ちいいからどんどんオープンにやったらいい、ってそういうことじゃないよな。
なんだか、はっきりとした答えが示された訳ではなく、《宙吊り》にされたままだから戸惑う。3時間近くにもわたって繰り広げられた《イトイーランド》とは一体なんだったのか? 無駄であったのかといえば、そんなことはなく、冗長だったのかといえば、そんなこともなく、観た!感じた!という触り心地は、はっきりと眼に焼き付いているし、体に刻まれている。
こういう体験は、これまで味わったことがないかもしれない。
なんだかよく分からない。けど、確かに感じとっている。
演劇ってこういうことなのかもしれない。
古代ギリシアの観劇ってこんな感じだったのかも?
今日の俳優陣のMVP
きょうもいつものことながら俳優陣のパワーに圧倒された。みんな個性的でそれぞれの特長がでていてよかった。なかでも魅かれたのは、
幸田尚子さん(コーダー)と大鶴佐助さん(男5)
幸田尚子さんには、以前《クロムモリブデン》の公演で、五点掌爆心拳を乱れ撃ちするという、演技を超えた、その圧倒的な破壊力をまざまざと見せつけられた。
いやいや、ユマ・サーマンよりももっともっと凄まじかった 汗。。。そんな幸田さんだから、《FUKAIPRODUCE羽衣》が得意とする「妙―ジカル」(妖艶かつ混沌とした詩的作品世界、韻を踏んだ歌詩と耳に残るメロディで高い評価を得るオリジナル楽曲、圧倒的熱量を持って放射される演者のパフォーマンスが特徴)においてもひと際輝いていた。
圧倒的な熱量というのは、やっぱり放射するぞ!という気持ちにならないとできないのだろうけど、幸田さんはごくごく自然に放射してしまうという感じ。日本人離れしているというか、彼女の体内にはラテン系の血が流れているのか? 圧倒的な熱量であるにもかかわらず、その肢体が実にしなやかなのだ。あれはラテンのリズムではなく、アラブ系のベリーダンスなのかな? 妖艶だった☆
そして、大鶴佐助さん。彼の演技を観るのは初めてだったけど、名前と顔立ちからなんとなく察しがついたのだが、「えっ! 深井順子さんって、唐組にいたの?」と遅まきながら気がついた。《唐組》からの《FUKAIPRODUCE羽衣》というのは、繋がっているような気がする。
確かに!
それで、大鶴佐助さんはなんと言うか、男性なのに妙な色気があるというか、声にも艶がある。中性的な感じ。「妙―ジカル」に求められるものを秘めているというか、今度、それこそ木ノ下裕一さん主宰の《木ノ下歌舞伎》にぜひ参加して欲しい!
《イトイーランド》は、味わったことのない魅力に満ちあふれた作品でした。
ありがとうございました☆
皆様も是非!!
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