クロムモリブデン『翼とクチバシもください』




   


《演劇》クロムモリブデン




タイトル: 『翼とクチバシもください』



作・演出: 青木秀樹


■■出演



武子太郎 花戸祐介


吉田電話 森下亮


池村匡紀 岡野優介


ゆにば 戸村健太郎


土井玲奈 小林義典


渡邉とかげ 



《トリプルキャスト》



奥田ワレタ 5/11,12 6/2-5


葛木英 5/13-19


久保貫太郎 5/20-22



■■スタッフ



音響効果: 笠木健司
照明:床田光世
舞台監督:今井康平(CQ
演出部:入倉麻美 溝端理恵子(茶ばしら、)
音楽担当:yasuski
造形班:辻朝子 増田靖子 朝倉靖子 
    ステファニー(劇光族)  定塚由里香
チクチク隊:並木裕子 青木絵璃 古村結 杉澤香織
宣伝美術 尾花龍一(MONSTERS,INC.) 谷本康則
当日パンフレットデザイン(鳥みたいなイラストたちも含む):吉田電話
宣伝写真 安藤青太
Web 小林タクシー(ZOKKY)
制作:床田光世 野崎恵 安井和恵 重晶子
企画・制作 office crome



■■日程・場所




《東京公演》
2016年5月11日(水)〜5月22日(日)@赤坂RED/THEATER



《大阪公演》
2016年6月2日(木)〜6月5日(日)@HEP HALL






《感想文》



ドラッグ、ダメ、ゼッタイ




クロムは作品のタイトルから中身が予測できないから、いつも始まってから度肝を抜かれるのだけど、今日はその最たるものだった。




何これ???




終演後にお客さんの、「えっ、本当にこの結末でいいの?」というびみょ〜うな反応も含めて面白かった。だが、しかし、観ているお客さんがきょとんとしていて、みんな心配になったというか、客席を離れるときにこそこそとつぶやいている人もちらほらいたけど、




いやー、まー、あのー、そのー




演技がうまいかヘタかって言われれば、めちゃくちゃうまいんだけど、




いやー、まー、あのー、そのー




やってるよね?




森○亮さん!




やってるよね?




絶対!




ド○ッグ!




ホント、こんな感じ!









目がいってしまってる!




こ、こわい!




演技でここまでやるとは!!




あっぱれ!!!




笑・笑・笑




でも、ホンマこわいわー、シャレならんわー、森下亮さんには助演あっちの世界へいっちゃってるで賞でも贈呈したいわー、ホンマに




あっ、なまえ言ってもうた 汗...










さて、『時計じかけのオレンジ』を例えに出すのはちょっと極端すぎたけど、いや、でも本当にいったい何なんだろ、これ?



近未来型メロドラマっていうのかな? そもそも、そんなジャンルあるのかな? 恋愛の中毒性とドラッグの中毒性がお口の中で溶け合って絶妙なハーモニーを醸し出した一大スペクタクル!




なんじゃそれ?




これは『翼とクチバシもください』の登場人物である奥寺とハル子の単なる幻覚だったのか? 確かに恋愛とドラッグの症状は似ている面があって相性がいいというか、例えばゲーテなんかもこてこてのメロドラマを熱心に書いているのだけど、恋愛ドラマというよりも恋愛をほとんど化学反応として捉えていて、自然科学の一現象として扱っている感がある。




親和力 (講談社文芸文庫)

親和力 (講談社文芸文庫)




そう考えれば、医学部出身の手塚治虫ゲーテを好むのもよく分かるし、氏の作品はゲーテと同じく、恋愛も医学も科学も分け隔てなく同列で扱われている。『ブラック・ジャック』しかり『鉄腕アトム』しかり『ネオ・ファウスト』しかり。







恋愛している時というのは中毒というか、何かに取り憑かれている感じがする。現実の世界で行なっていることが常軌を逸脱してしまっていて、じぶんでじぶんをコントロールできなくなっていて、説明ができなくなるのだけど、あっちの世界に連れ去られていってしまって、あっちの世界でじぶんが闇の組織の誰かに支配されてしまっていて、じぶんの意思に反して物事が着々と進行していってしまって、ふと気がついて現実の世界に戻ると「えっ? そんな!」なんて状態になってしまっている。



恋愛にはまってしまったり、宗教にはまってしまったりというのはドラッグ中毒と大して変わらない。ま、ぼくはドラッグといえば風邪薬程度で危険ドラッグに手を出したことはないから分からないけれど、脳内で起こっている物質の化学反応はけっこう似たり寄ったりなんじゃないか。




なるほどー




『翼とクチバシもください』は恋愛とドラッグとテクノロジー(アンドロイド)がほぼ同列で扱われていて、舞台上で繰り広げられているのが、もう何がなんだかよくわからなくて、恋愛ドラマが進行しているのか? ドラッグ中毒者の幻覚が見えているのか? 近未来の機械人間が機械人間らしくダンスしているのか?







いったいこれは何なんだ???




例えば、さっきYouTubeを貼付けた『時計じかけのオレンジ』はドラッグ中毒者というか、人格破綻者がテクノロジーの進化による科学的な治療を施されてうんちゃらかんちゃらというSFで、あと若者文化というかドラッグと恋愛と言えば、『トレインスポッティング』かな?







いやー、でも『翼とクチバシもください』は『時計じかけのオレンジ』とも『トレインスポッティング』とも似ても似つかない作品。確かにけっこうよくデザインされていてスタイリッシュではあるのだけど、他に類をみないから本当になんだかよく分からない???




ま、一度観てみてよ!




あっ、確かにこれは二度三度観てもいいかもしれない!




ドキズル・ゲソラム・スタスタタ・トッキベレンス・ミコホルディ・ゲミノンスカカラッパ・ヘボシルソギマク・ノロルセン!




ではでは!




クロムモリブデン




翼とクチバシもください






クロムモリブデン過去作品《感想文》




七人のふたり


こわくないこわくない













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