DULL-COLORED POP『演劇』




   


《演劇》DULL-COLORED POP




新作・長編:『演劇』






再演・短編:『全肯定少女ゆめあ』



再演・短編:『エリクシールの味わい』





作・演出: 谷賢一


■■出演



新作・長編『演劇』



百花亜希 井上裕朗


堀奈津美 塚越健一


東谷英人 中田顕史郎


大原研二


小角まや(アマヤドリ)


渡邊りょう(悪い芝居)



《日替わりゲスト》



堀川炎(世田谷シルク)5/12-16


川村紗也 5/18-20


井上みなみ(青年団)5/21-25


石森美咲(演劇集団キャラメルボックス)5/26-29




短編『全肯定少女ゆめあ』



川村紗也 一色洋平


塚越健一 小角まや(アマヤドリ)


百花亜希 東谷英人


堀奈津美 大原研二 


外桂士朗 市川彩


渡邊りょう(悪い芝居)




短編『エリクシールの味わい』



原田優一 永楠あゆ美


大原研二 小角まや(アマヤドリ)


片岡春奈 百花亜希


一色洋平 堀奈津美


演奏(Piano)伊藤靖


演奏(Perc)佐藤仙人文弘



■■スタッフ



舞台監督:竹井祐樹(STAGE DOCTOR)
照明:松本大
照明操作:朝日一真
音響協力:千葉恵太
大道具:テルミック
今回お休み:中村梨那(DULL-COLORED POP)
稽古場助手:外桂士朗、片岡はるな、市川彩
いろいろ協力:猫の手(ダルカラ応援団組織)


『エリクシールの味わい』
作曲・音楽監督伊藤靖浩  演奏:佐藤仙人文弘



■■日程・場所




《東京公演》
2016年5月12日(木)〜5月29日(日)@王子小劇場


《新潟公演》
2016年6月3日(金)〜6月5日(日)@えんとつシアター






《感想文》



空も飛べるはず




まだまだ観たことのない劇団ってけっこうあるなーって思う今日この頃。世代なのか地域なのか分からないけれど、僕は岡田利規さんや前田司郎さんの影響で演劇を観始めたから、青年団周辺の劇団はよく観ているのだけど、逆に最近は青年団周辺ではない今まで観たことのない劇団を観るようにしているのだけど、ダルカラも初めて。谷賢一さんの名前は何度か見かけたことがあるのだけど作品を観るのは初めて。ちなみに王子小劇場も初めて。



ダルカラはもう俳優たちの圧倒的な熱量に圧倒されてもうカラダ熱熱、のどカラカラ!!



短編2本と長編という構成だったけど、短編の『全肯定少女ゆめあ』が長編『演劇』のプロローグで、『エリクシールの味わい』がエピローグ的な位置づけとも言える。まっ、エピローグとはちょっと違うかな笑



どの作品も「大人/子ども」の対比が主題になっていて、これは演劇以外の何物でもないけれど演劇じゃないというか、「ザ・演劇」なのだけど演劇じゃないというか、



即是人生!



人生がまるで演劇(映画)のようにしか思えないという錯覚は誰しもが感じたことがあるだろうし、自分の生きている世界がデタラメで周りの人びとが実はみんな宇宙からの侵略者なんじゃないかって思ったこともあるんじゃないか?



現実、現実とは言うけれど、現実を生きているという実感はなかなか味わえるものではない。あっ、そうそう、そんな思いを逆手にとった傑作に『トゥルーマン・ショー』がある。







この映画は僕も大好きで、主人公のトゥルーマンがニセモノの街(テレビのセット)に住んでいて、彼の人生が24時間全世界に衛星中継されているという設定。まったくもってバカバカしい話だけれども、バカにできないというか、すごくよく考えられていて、



「われ思う、故に我あり」



というデカルトの構想した世界モデルをものすごくうまく表現している。








ダルカラの『演劇』を観ていて思っていたのは『トゥルーマン・ショー』だったのだけど、『演劇』はもっと僕に迫ってくるものがあった。『演劇』は「小学校の先生(大人)/生徒(子ども)」という2つの視点で描いていて、ああ、こういうランドセルがぺちゃんこの生徒いるいる、ああ、こういうジャージの先生いるいる、ああ、こういう事件あるあるというように、ちょっと自分とは関係ない、テレビのニュース番組でよく報道されている事件の真相を眺めるという感じで観ていたのだけど、あるシーンで突然ぐぐっと身に迫ってきた。





(以下ネタバレ)





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ずっと観ていると、小学校の先生と父兄が話している生徒の名前と小学生2人組とひとりの女の子の名前がどうも一致しないということに気づきだして、少年の名前が呼ばれたときに、「あれ? セリフ間違えたのかな?」って思ったのだけど、そうじゃなかった。




「ああ、この先生(大人)とこの小学生(子ども)は同一人物なのか!!!!!」




って気づいてからは、もう正直ショックで、こいつがこうなっちゃうのかーって思うといたたまれないというか、自分を客席に座らせたままではおられないというか、これは確かに小学校の先生だからこそ起こる問題だけれども、




「オレの人生と全然変わんないじゃないかー!!!!!」










さっき紹介した『トゥルーマン・ショー』では主人公のトゥルーマンが最後にじぶんの生活が衛星中継されてテレビ番組になっていることに気づくんだよね。そしてそのニセモノの街に留まって、じぶんは気づいていないふりをして、しらふのじぶんを演じてさえいれば、生活は保障されるのだけど、あえてニセモノの街から出ていくことを選択する。すなわちトゥルーマンは本当の大人になるんだ!







対して、ダルカラの『演劇』でこのシーンにあたるのは〈子どもパート〉の最後、ぼくとあの子の愛のシーン。ずっと車椅子に座っていたゆめあちゃんが立てたシーン。そして、




ぼくとあの子が手をつなぐ!




ここなんだよね、ここスゴくいいシーンなのに、なのに、ここで終わらないのがダルカラの『演劇』なんだよね、、、



ここでふたりは飛び立って、どんな困難にも負けない大人になったはずなのに、もう一度へんなところに戻って来ちゃっているんだよね、それが〈大人パート〉の応接室のシーンなんだけど、




小学校の応接室!




ここはねー、そう簡単には抜け出せないんだよねー




ああー、もうー!!!









嗚呼、人生!!






追記




短編『全肯定少女ゆめあ』と『エリクシールの味わい』のテーマは、長編『演劇』と通じているけど、はっきり言ってこっちは純粋に楽しめました(笑)



『全肯定少女ゆめあ』は主人公ゆめあを演じた川村紗也さんのぶっ飛んだ少女っぷりによる圧倒的な肯定力



『エリクシールの味わい』も主人公の三井を演じた原田優一さんの明後日の方向を向いたダンディっぷりと歌、そして愛!



よかったー!



本当に熱かったー!!





傑作・熱演ありがとうございました!!!





皆様もぜっひ!!





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阪根タイガース


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