劇団競泳水着『全員彼女/全員彼氏』




   


《演劇》劇団競泳水着




タイトル: 『全員彼女/全員彼氏』



作・演出: 上野友之


■■出演



「全 員 彼 女」



倉田大輔 


綾乃彩  


石井舞  一双麻希


武田杏香  中野あき(ECHOES)  


岩井七世


古澤美樹



「全 員 彼 氏」



橘花


荻野祐輔(東京エスカルゴ。)


市川大貴  市原文太郎


毎川一輝  武藤賢人


倉田大輔


曽我祥之(四次元ボックス)



■■スタッフ



舞台監督:土居歩 松谷香穂
舞台美術:坂本遼
照明:島田雄峰(LST)
照明操作:佐伯香奈
音響:星野大輔(サウンドウィーズ)
音響操作:大矢紗瑛
宣伝美術:藤尾姦太郎(犬と串)
演出助手:津島一馬
当日運営:潮田塁
制作:寺坂智子
制作助手:松永直子、南帆子
企画・製作:劇団競泳水着



■■日程・場所


2016年4月8日(金)〜 17日(日)@下北沢・小劇場B1





 《感想文:別れるか別れないかはあなたたち次第》



《劇団》競泳水着 初観劇!



恋愛群像劇を得意にしているという前情報をキャッチしていたから気持ちの整理はできていたつもりだけど、なんというか小劇場でこうも真っ正面から恋愛モノを見せ付けられると赤面してしまうというか、「いや、俺、別にそういうつもりじゃないから」と一体誰に向かって言っているのか? 「いや、俺、『冬のソナタ』も見てないから」と一体誰に向かって言い訳しているのか? 「いや、あのさー、おまえ何で『ビバリーヒルズ高校白書』なんてずっと見てられんの?」なんて言ったむかしの記憶なんかも蘇ってきたりして完全に動揺してしまった 汗。。。



なんか恋愛モノというかトレンディドラマは万人ウケするからテレビでやって、小劇場はもっとマニアックな小難しいモノをするという棲み分けみたいなのがあるように思うけど、よくよく考えてみるとそれもどうかと思うね。



《劇団》競泳水着を主宰している上野友之さんは、そのあたりの事情に意識的なんじゃないか。



恋愛モノ = 大衆ウケする = 低俗




難解モノ = インテリ受けする = 高尚

こうやって露骨に書くと多くの人は否定するだろうけど、こういう風潮は確かにあるよね。



上野友之さんは純粋に恋愛に興味があって、恋愛群像劇が得意だからそのスタンスを貫いているのかもしれないけれど、恋愛を掘り下げていけば、舞台で表現できることがまだまだあるということに勘づいているのだと思う。



で、今回の『全員彼女/全員彼氏』のストーリーはというと、これ、パンフレットにも書いてあるからネタバレしてもいいと思うのだけど、


彼女/彼氏が分裂して増えてしまうんです!!


はっ!?



このオチだけで白飯3杯は食えるっていうくらい《出オチ》感がぷんぷん漂っていて、『テルマエ・ロマエ』よろしく、設定がすべてというマンガにありがちなパターンかなって思っていたけれど、、、



確かに「彼女/彼氏が分裂して増える」という設定に度肝を抜かれたし、物語のなかでもそのシーンが見せ場になっていた。



今回は『全員彼女』と『全員彼氏』という内容は同じだけど、主人公が《男》バージョンの『全員彼女』と主人公が《女》バージョンの『全員彼氏』という2本立て。



『全員彼女』のほうはハーレム感が漂っていて、なんだかいい感じであり、羨ましくもあった。しかしながら、『全員彼氏』の方は絵的に正直恐かった。彼氏役の俳優陣が韓流ドラマよろしく爽やか男子を演じていたのだけど、小さな部屋に小柄な女性がひとり、その周囲に男が4人! はっきり言って、これはスーフリだろ 汗。。。(女性のお客さんは楽しそうに観ていた気がするけど…)



なんて感じで、まあ、楽しいシーンではあったのだけど、本当のオチはそこではなかった。



この作品は、男と女の出会いと別れがテーマになっていて、後半一気に引き込まれた。結末に異論はないし、なんだかすごく納得させられてしまった。



恋愛あるある



でも、同じようなシチュエーションで全く逆の結末になることもあるし…



《恋愛》って分からないなー



《人間》って分からないなー



劇中、想っていたのは韓流ドラマ。俳優の醸し出す雰囲気がなんかそういう感じがしたから。だけど、韓流ドラマは幾多の困難を乗り越えて愛し続けるという《過剰な愛》が物語を突き動かすチカラになっているのに対して、この作品は物語を突き動かすチカラらしきものがない。なんとなくなんとなくという感じ。そういう意味では『全員彼女/全員彼氏』は全然韓流ではなかった。



むしろあれかな?







サマーってホント分からないなー





  《まとめ》



カップルで『全員彼女/全員彼氏』を観劇して、その晩にふたりで『500日のサマー』をDVDで一緒に観よう!!




  





 別れるか別れないかはあなたたち次第!!















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パラドックス定数『深海大戦争』




   


《演劇》パラドックス定数




タイトル: 『深海大戦争



作・演出: 野木萌葱


■■出演


植村宏司  西原誠吾  井内勇希


千代田信一  大柿友哉


森田ガンツ  小野ゆたか




■■スタッフ


照明:伊藤泰行  衣裳:渡辺まり 


音響:田中亮大  音響操作:杉山碧


舞台監督・舞台美術:吉川悦子


撮影:渡辺竜太  販促:副島千尋


制作運営:岡本朋子


制作:たけいけいこ  今井由紀




■■日程・場所


2016年4月5日(火)〜 10日(日)@上野ストアハウス






 《感想文:深い》





  前回の入場券を見せたらオマケをくれた☆


きょうは上野動物園に抹香鯨と大王烏賊を観に行ってきた。



んっ!?



いやいや上野動物園に魚はいないから水族館だ!



そうそう上野水族館に行ってきた。



んっ!?



上野に水族館はないから、あれどこだ?



もとい!



上野ストアハウスに演劇を観に行ってきた。


  深海大戦争



〜 抹香鯨vs大王烏賊 〜



大海原で繰り広げられる壮大な戦いであった。そのため前回は時間切れで結末が描かれなかったのだけど今回は描かれた。ネタバレになるから言わないけど、



なるほど…



深い…



マッコウクジラvsダイオウイカ



マッコウクジラゴジラのように人間を襲ってはこないけど、彼らは彼らなりの戦いを海の底で繰り広げている。そこには人間は関わっていないはずなのだけど、マッコウクジラvsダイオウイカの上空では人間vs人間の戦いも繰り広げられている。そして人間の影が深い深い海にも忍び寄る。



う〜ん



夏目漱石の『草枕』だったか、山奥の温泉宿を舞台とした男と女のラブロマンス? あれも直截的には書かれていないのだけど、戦争の影が忍び寄ってくるのが暗に示されている。よのなかの動向に否定的であろうとも、人里からどれだけ離れようとよのなかとの関係を絶つことはできない。この世のすべては連鎖している。



海の底もしかり



今回はかなり擬人化した描き方だったけど、純粋に水の生物を描こうとしても、そこには人間が色濃く出てしまう。人間社会の縮図と化する。知性を持たないはずの大王烏賊のなかにもテクノクラート化する烏賊なんかがでてきたり、神の存在を悟る生き物がでてくるのもあながち嘘とも言えない。



そして結末は!



望むと望まざるにかかわらず、あれが自然の姿なのだろう。



自然の斉一性



翻って、



人間はなぜ戦争をやめられないのか?



そこに希望はないのか?



深い





 《追記》




あと本来の姿を隠しつつ鯨に媚を売る鯱の立ち位置とか、氷山の立ち位置も興味深かった。自然界を描こうと思えば氷山のような時間のスケールが必要になってくるし、氷山の「観る」のではなく「観させられる」という立ち位置と、「オレは生まれることができない。あることしかできない」というのはいいセリフだと思う。










今回の俳優陣のMVPは大柿友哉さん



大柿さんの演技は、《音楽劇》ファンファーレなどで何度か観たことがある。飄々としているけど、実力派ぞろいのパラドックス定数俳優陣のなかにいてもまったく負けていなかった。皇帝企鵝という名前だけが一人歩きして実体と釣り合っていない生き物で、なんとも言いようのない立ち位置だったけど、消え去ることなく存在感をうまく表現していた。



けっきょく、どっちかと言えば、きょうも俳優に魅せられていた。《演劇》は、やっぱり良くも悪くも俳優のチカラによって成り立っているのだと思う。









パラドックス定数 過去作品《感想文》



東京裁判


深海大戦争













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あひるなんちゃら『ドロボー・シティ』









《演劇》あひるなんちゃら



公演タイトル: ドロボー・シティ



作・演出: 関村俊介

■■ 出演


篠本美帆 根津茂尚 野村梨々子


園田裕樹(はらぺこペンギン!) 田代尚子


伊達香苗(MCR) 堀靖明


松木美路子 宮本奈津美(味わい堂々)


山田百次(劇団野の上/青年団リンク ホエイ)



■■ スタッフ


照明:久保田つばさ
音効:高橋真衣
音楽:綱島慎平
作詞サポーター:永山智啓(elePHANTMoon)
舞台にあるもの:コマツバラミワ
WEB:ムー
宣伝美術:デザイン太陽と雲
舞台写真:たばたまみ
協力:なんわりなんわり/イマジネイション/RYU CONNECTION
公式サポーター:日栄洋祐(キリンバズウカ)
取材協力:伯 美乃里
制作:中川加奈子
企画・製作:あひるなんちゃら



■■オープニング曲


「STEAL YOUR HEART」


作詞:永山智啓(elePHANTMoon)
作曲・編曲:綱島慎平
唄:江見昭嘉(MCR)
コーラス:林あや



■■日程・場所


2016年3月25日(金)〜28日(月)@下北沢・駅前劇場





 感想文:「ある晴れた昼下がり」


なぜだか朝6時に目が覚めてしまって、「えっ、今日も働くつもりなの?」ってじぶんじしんを疑ったけど、朝ごはんを食べているうちに、「きょうはなにしようか?」という疑問がわいてきたので、「ああ、きょうはさすがに働くつもりはないんだな」と分かってほっと胸をなでおろした。



それで、ツイッターでフォローしている俳優さんがツイートしていたなんちゃらあひるを観に行くことにした。多摩動物園上野動物園か、どっちにいるんだろうと思ったら下北沢だった。下北沢に動物園ってあったっけ? ま、沢というくらいだからアヒルがいてもおかしくないか。



ヒルウィキペディアで調べてみたらけっこういろいろいるみたいで、


シロアヒル、アオクビアヒル、カユーガアヒル、バフアヒル、インディアンランナー、ポメラニアアヒル、大阪アヒル、ペキンアヒル


大阪とか、ペキンとか名前に地名がつくとカッコいいなー、阪神タイガース、広島カープ所沢ライオンズみたいでいいね!



ただよくみたら「なんちゃらあひる」じゃなくて「あひるなんちゃら」だった。ああ、Jリーグとか、そっちを意識しているのね。ガンバ大阪とかヴァンフォーレ甲府みたいな、アヒル東京って感じかな。



ガーガーうるせぇよー






で、《あひるなんちゃら》初観劇!



前フリながいわー、ボケ!!



で今回の作品は、タイトルに『ドロボー・シティ』とあるようにドロボーがたくさん出てくる話。



オーシャンズ11』みたい???





ジョージ・クルーニーを彷彿させる根津茂尚扮するドラゴン、ブラッド・ピットを彷彿させる山田百次扮するタイガー、そしてジュリア・ロバーツを彷彿させる伊達香苗扮するフジコ。



かっこいい!



だがフジコっていうことは、こっちか!





かっこいい!



で、ついついかっこいいドロボーに目を奪われがちだが、それ以外にも魅力的なドロボーがたくさん。



たしかにドロボーって真面目にやる職業じゃねーしさー、人をだますのが職業なのに、チーム内ではお互いを信頼しろってさー、なんなんだよ、どうなんだよ? それに結婚しても続けるかって言われたら、正直迷うよなー、奥さんや子どものために一所懸命がんばるってのも変だしさー

ドロボーも大変だよねー






きょうはあれだな、宮本奈津美さん演じるツキホと堀靖明さん演じる中山がよかったなー、宮本奈津美さんは同じ《味わい堂々》の浅野千鶴さんの演技を観たことがあるけれど、イメージがぴったりそっくり。空気読まない感じとか、どこから出てんだろっていう愛嬌のあるあの声とか、なんか憎めないんだよねー笑。



堀靖明さんの演技は《MCR》で何度も観ていて、きょうも汗をバンバンかきながらっていう熱演だったけど、《MCR》はわりかしみんなハイテンションだっていうのに、《あひるなんちゃら》は何? 何? この空気??? すっごく



ゆる〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜い



空気が漂っていて、力が入ってるの堀さんだけだから、アクセルをぐいぐい踏み込むだけじゃなくて、もうエンジン掛けるのもぜ〜んぶ自分でやっちゃうって感じで、ホント大変そう(ご苦労様です!)。ほかはみんな体に力を入れてる感じがまったくなくて、もうゆるゆるで進行ものんびりしていてシリアスな話をしていても全然シリアスじゃないっていうか 汗。。。



ああ、こういう言い方したら失礼かもしれないけれど、ちゃんと稽古して本番を迎えている訳だから失礼かもしれないけれど、ある晴れた昼下がり市場へ続く道を歩いていたら財布がないのに気づいて、でも家に取りに帰るのも面倒だからついでに演劇でも観ていくか! ってふらっと立ち寄った劇場で《あひるなんちゃら》を観劇したら、愉快になったサザエさんって感じ。





なんかいい感じに肩の力が抜けた!



そんな日曜日でした。



ありがとうございました☆













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少年王者舘『思い出し未来』









《演劇》少年王者舘



公演タイトル: 思い出し未来



作・演出: 天野天街

■■ 出演


夕沈 虎馬鯨 白鴎文子


雪港 ひのみもく 小林夢二


宮璃アリ 水柊 池田遼 る正和



■■ 東京公演ゲスト


3日(木)19:30 日与津十子 / 中村榮美子
4日(金)19:30 マリリンマリィ
5日(土)14:00 中村榮美子
     19:30 加藤千晶
6日(日)18:00 山本亜手子
7日(月)14:00 加藤千晶 
     19:30 マリリンマリィ
8日(火)14:00 ルナリリナ



■■ スタッフ


舞台美術:田岡一遠
美術製作:小森祐美加
映像:浜嶋将裕
映像オペレーター:森諒介(流山児★事務所)
照明:小木曽千倉
音響:岩野直人(ステージオフィス)
舞台監督:岡田保(演劇組織KIMYO)
振付:夕沈
音楽:珠水/FUMICO
チラシ:アマノテンガイ
チラシロゴ:田岡一遠
小道具:る、YM
衣裳:雪港/竹内陽子
衣裳協力:菅井一輝(afterimage)/PON(drop*stitch)
写真:羽鳥直志
記録:山崎のりあき/田中博之
賄い方:山本かおり
票券:藤田晶久
制作:宮璃アリ
制作補佐:岩本苑子



■■日程・場所


愛知公演:2016年2月11日(木)〜14日(日)@七ツ寺共同スタジオ
三重公演:2016年2月18日(木)19日(金)@四日市市文化会館
兵庫公演:2016年2月26日(金)〜28日(日)@伊丹アイホール
東京公演:2016年3月3日(木)〜8日(火)@下北沢ザ・スズナリ





 感想文:「しあわせはきゅうり」


王者の日、少年の日






少年王者舘》の観劇は毎年、夏の風物詩という感じで肝だめしに通じているように思うのだけど、ちょっぴりあっちの世界を覗き見する儀式。工場にいたときはよく見に行っていたのだけど、ちょうどお盆休み明けの頃で納品が間に合わないYOー!って、チケット取ったのに、休みなのに工場で働いていて行けなかった年もあったな。というようにいつもは夏なのだけど、今年は閏年だから季節が1つ前にずれて春の公演になったようだ。





少年王者舘》のスミレ超特急が好き☆




ダンス スミレ超特急





少年王者舘》のガラパゴス★ダンスが好き☆




ガラパゴス★ダンス





少年王者舘》のきゅうりが好き☆



新鮮なきゅうり










少年王者舘》や《維新派》は独特の世界を創り上げていて続く限り続くのだけど、終わってしまったらもうおしまい。恋しくなって復元しようとしたらとんでなく変梃りんな代物になってしまうだろうから、今、見続けられる限り見続けたい。





おわっちゃだめー!





見続けていると初めて見たときとは違ってきていて、初めて見た時は完全に向こうの世界に持って行かれたのだけど、2年、3年と見るうちに向こうの世界が自分のなかにもできていて、向こうの世界を見る行為が向こうの世界にいる行為に変わっていて、ジョギングをして有酸素運動をして脂肪を燃焼して少しずつ体のアウトラインが書き換えられるように、自分の生活の一部に取り込まれていてルーティンになっていて少しずつ自分の世界がむこうの世界になっていて世界の輪郭が変質しながら上書きされてゆく。



自分の世界とむこうの世界の行ったり来たりがいつしか自分の世界が1つから2つになったように感じられ、3つ、4つと感じられ、いつしか自分が1人から2人へ、2人から3人へ、3人から4人になったように感じられ、どんどんどんどん増えていって、ぐるぐる、ぐるぐるぐるぐる、ぐるぐるぐるぐるぐるぐる、ぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐる回りだしてどろどろに溶けて美味しいバターになってホットケーキになって100枚くらい食べて自分のなかに入って自分になって、また自分が1人から2人になって、2人から3人になって、3人から4人になったように感じられ、どんどんどんどん増えていって、ぐるぐる、ぐるぐるぐるぐる、ぐるぐるぐるぐるぐるぐる、ぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐループしていって、昨日は明日で、明日は昨日で、昨月は来月で、来月は昨月で、昨年は来年で、来年は昨年で、





今年は、今月は、今日はどこへ行った?










最近ファミマのきゅうりばっかり食べている☆




ファミマのきゅうり





しあわせはきゅうりをたべると思う。例え口がなかったとしても!




 《しあわせの訓示》




為せば成る、為さねば成らぬ何事も、成らぬは人の為さぬなりけり!




きゅうりを食べてしあわせに成る☆





明日から工場勤務に戻る。





がんばろ☆















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二月のできごと









《演劇》



公演タイトル: 二月のできごと



上演作品1:「からす食堂」




出演:江本純子 富岡晃一郎 梨木智香




上演作品2:「黒い三人のこども」



出演:島田桃依 佐久間麻由 岩瀬亮 ほか


■■スタッフ

企画と制作: 佐久間麻由
台本と演出: 江本純子
チラシデザイン:細谷勇作
イラスト:生越千晴
記録写真:神谷渚
記録映像:日下部拓哉



■■日程・場所


2016年2月24日(水)〜29日(月)104 Rmond





 感想文:「観劇したことをすでに忘れかけている」


このあたりに来るのは久しぶりだな。行きは池尻大橋まで電車できたけれど、帰りは渋谷まで歩くことにした。新山手通りから旧山手通りに出ようと思うと変な高低差があって、確か渋谷から駒沢通りに出る抜け道は南平台から鉢山交番のほうへ行って旧山手通りのしたをくぐって坂をくだって新山手通りを横断してまた坂をすこし登ったような。というわけでこのあたりの道はややこしいから246の方へ行くことにした。新山手通りは246の下をくぐって松見坂の方へ出るのだけど、かつて淡島通りを自転車で行き来していた時期もあったのだけど、あっちを回ると遠回りになるから246に出ることにしたのだけど、「ああ、この階段のぼったことあるわー」って思い出したのだけど、「何でここにきたんだっけ?」って記憶をたどって思い出したのだけど、なぜかは言わない。





過去は過去。今日は今日。





今日ここにきたのは演劇を観るためで、「最近、江本さん観てねーな」と思っていたら、江本純子さんのツイッターだったか、《毛皮族》のメーリングリストだったか、どっちか忘れたけれど、公演の告知があったので観にきた。位置的には渋谷からだとアゴラ劇場と同じくらいの距離だけど、「こんなところに劇場あったっけ?」と思ったのだけど、どうやらふだんは画家か彫刻家が共同でつかっているアトリエのようだった。「変わったところで公演するなー」と思ったけれど、そういえば「《毛皮族》も変なところで時々公演していたなー」と思い出した。神保町だったか水道橋だったかなんかよくわからないところで観劇したおぼえがある。が、しかし、今回この場所を選んだのは江本さんではなく、佐久間麻由さんなのだった。





佐久間麻由さんはたしか《フィクション》で一度観たことがある。ほら、これ→FICTION『ディンドンガー』、佐久間さんの名前がある! でも、このときは、まさとっていう子役の子がすごくよくて、バス停のシーンは覚えているのだけど演劇の内容はほとんど覚えてなくて、佐久間さんは、えーと、佐久間さんは、えーと、公演が終わったあと、「まさとが北海道に帰るよ!バイバイ」っていう写真がツイッター? あれ? あの頃ツイッターってあったっけ? ブログかな? で、見送っている姿の写真を覚えている。





《フィクション》は山下澄人さんが率いている劇団で、あっ、ちょっと思い出してきたけれど、あの時、佐久間麻由さんが出ていることに違和感とまでは言わないけれど、「えっ? なんで出てんの?」と思った記憶がある。山下澄人さんは小説も書くようになったから知っている人もいるかな?





鳥の会議

鳥の会議





山下澄人さんの作品は、演劇でも小説でもふつうじゃないというか、「じゃ、ふつうって何よ?」って言われても困るのだけど、ま、つまり、なんていうか、「佐久間さんだったら、もっとふつうの演劇に出られるのに」と思ったのだった。その後の佐久間麻由さんのあゆみを全然知らなかったのだけど、ハイバイの『て』にも出ていたようで、「オレ、『て』観たよ!ほら!」→《「て」の感想文》、『て』はいいよねー、でも佐久間さんが出ていた記憶はない(このあとの全国ツアーに出演していたらしい)。そんなこんなで佐久間麻由さんは記憶にあるようでないようなのだけど、きょう江本純子さんの公演を観にきたら出ていたので、なんか今まで腑に落ちなかったことがぜんぶ繋がったような気がした。山下澄人さんの作品に出て、岩井秀人さんの作品に出て、江本純子さんの作品に出る。





なるほど!




あっ、TOKYO HEADLINEに記事が出てる!




《TOKYO HEADLINE》



佐久間麻由 江本純子の短編2作を上演「二月のできごと」




意外だったけど、今回は江本純子さんではなく、実は佐久間麻由さんが動いたようだ。演劇のこと、表現のことをものすごく真剣に考えている。先日観た梅舟惟永さん自分のユニットを持っている川村紗也さんのように俳優が、表現者として新たなスタイルで活動してゆく姿がいろいろと見えてきた。





舞台で観るだけだと分からないけど、すごい人たち





そう言えば、江本純子さんを初めて観たのは《毛皮族》じゃなくて《ポツドール》だった。きょう出ていた岩瀬亮さんも《ポツドール》でおなじみの俳優さん。《ポツドール》ねー、「もう二度と演劇なんて観るか!」って心底思う、毎回思う、もう本当に吐きそうになったからねー、あいつらめー、あー気分悪、もうホント最悪、くっそぉ!





そう言えば、きょうもホント気分悪かったからなー、《ポツドール》の三浦大輔を殴ってやろうかって思うくらい、きょうは江本純子を殴ってやろうかって思ったからなー、富岡晃一郎さんもとんだ災難だよな、ムカつくわー、いらつくわー、あいつ! って、いやー、ほんと、そんな気になっちゃうからねー





こわいこわい、演劇、こわいこわい





そう言えば、島田桃依さんも出ていたなー、島田さんって《青年団》っていうか《庭劇団ペニノ》のイメージが強いのだけど、ペニノのときは無表情というか、あまり人間っぽくないのだけど、きょうはちゃんと人間の役だったから、すごく表情が観れてよかった。きょう一番よかった。あっ、あと、梨木智香さんは今日初めてみるのだけど(いや実は《THE SHAMPOO HAT》で一度観てるのだけど)、根本宗子さんの作品に出ているらしい。根本さんもまだ観たことがないのだけど観たいと思っている劇団だから、「あ、こういう人たちが繋がっているのか!」って思うと、ああ、





すごく楽しみ。





江本純子さんって、《毛皮族》って、もっとぐいぐい見せつけてくるというか、《夜の宝塚歌劇団》というイメージがあるのだけど、きょうは「あれっ!?」っていう感じだったなー、さっき、すっげぇムカついたんだけど忘れちゃったっていうか、もう演劇の内容も、演劇を観ていたことすらも、もうあんまり覚えてないんだよなー、中目じゃねぇーや、あのあたりは新山手通りでももう大橋なのか? いや池尻なのか? 東急的には池尻大橋なのか? ま、どうでもいいや、とにかくあのあたりに行ったんだよ、何をしに?





散歩に行ったんだっけ?



















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梅舟惟永企画『ありがとねえ!』









《演劇》梅舟惟永企画



公演タイトル: 『ありがとねえ!』



(1)タイトル:『ジョニー』 



作:池田鉄洋(表現・さわやか)


出演:鹿野真央(文学座) 梅舟惟永(ろりえ)




(2)タイトル:『仲良きことは』 



作:喜安浩平(ブルドッキングヘッドロック


出演:川村紗也 梅舟惟永(ろりえ)




(3)タイトル:『春告花』 



作:奥山雄太(ろりえ)


出演:斎藤加奈子(ろりえ) 梅舟惟永(ろりえ)




(4)タイトル:『父はマニラに行きました。』 



作:岩崎う大かもめんたる


出演:鹿野真央(文学座) 斎藤加奈子(ろりえ)


   梅舟惟永(ろりえ) 川村紗也


■■スタッフ


構成・演出:奥山雄太
舞台監督:土居歩
音響:田中亮大(Paddy Field)
照明:南香織(LIGHT-ER)
演出助手:福名理穂(ぱぷりか)大貫隆
音響操作:大貫隆
照明操作:鐸木のすり
音楽:なかじまみのり
記録映像:下山天 吉原通克 横山翔一
宣伝美術:徳橋みのり(のりえ)
宣伝写真:タイコウクニヨシ
宣伝メイク:西ヒロコ 高石涼太
当日運営:土肥天
制作協力:会沢ナオト
制作:ありがとねえ!制作部
制作協力:ろりえ
企画・製作:ありがとねえ!実行委員会



■■日程・場所


2016年2月11日(木・祝)〜14日(日)早稲田どらま館





 感想文:「バレンタインデーにありがとねえ!」


バレンタインデー




劇場を出たら、まるで春のようなポカポカ陽気で、電車に乗ってそのまま家に帰るのもつまらないから、一駅前で降りて散歩しながら帰った。いつもだったら鯛焼きを買うのだけど、きょうはアイスを買って歩きながら食べた。「バレンタインデーだかなんだか知らないけれど、きょうはチョコなんかよりもアイス のほうが美味しいにきまってる!」とぐっとコーンカップを握りしめ、舌を研ぎ澄ませてアイスを味わった。やっぱり美味い。なんど舐めても美味い! このような結末を誰が予想したことか! 俺はついに勝ったぞー!!





ありがとねえ!





そしてアイスをぺろりと食べきったあと、劇中のあのつぶやきが忘れられなくて、というか単にお腹がすいたからだけど、ラーメン屋に寄って、ラーメンは頼まずに、炒飯だけ頼んで食べた。やっぱり美味い!





ありがとねえ!





素晴らしい一日でした。





ありがとねえ!










さて。俳優である梅舟惟永(うめふね・ありえい)さんが企画した公演『ありがとねえ!』を早稲田小劇場どらま館で観劇した。俳優が企画する公演というのは非常に珍しく、本公演に参加している俳優の川村紗也さんが自ら立ち上げたユニット《僕たちが好きだった川村紗也》で公演を行っているくらいではないかと思う。



このように希有な公演である『ありがとねえ!』は、俳優が起点となっている公演ということもあって、俳優の魅力を存分に味わえる内容であった。今更ながら、





「女優とは演技で表現する人なのだ」





と出演した梅舟惟永さん、川村紗也さん、鹿野真央さん、斎藤加奈子さん、四名の女優の四者四様の演技を観てつくづく思った。





「えっ? 人っていうのは演技ひとつでこうも自在に変われるのか!」





と始めから終わりまでずっと目が点になったままであった。








(1)『ジョニー』作:池田鉄洋 出演:梅舟惟永・鹿野真央






足が長くてすらっとした女性が客席の階段を降りてきたので、モデルさんが観劇にきたのかと思ったら、そのまま舞台に登ってしまったので、「おやっ?」と思って顔をみたらポスターでいつも笑っている人だった。梅舟惟永さんの実物を初めて観た。





「ああ、この人が梅舟さんかー」





舞台で視線を持っていかれたのは、ナイロン100℃で観た小池栄子さん以来かなー





でも容姿端麗だからといってお高くとまるという感じではなくて、演技は手抜きなし、常に全力投球、恋愛ドラマのヒロインからスポ根までなんでもできそう。





エネルギッシュ!





対する鹿野真央さんも負けず劣らず魅力的。キャビンアテンダントや社長秘書のような高貴な雰囲気を漂わせつつ、女性の持つ可愛らしさやズル賢さをしなやかに演じていた。そしてやはり、





エネルギッシュ!





そしてストーリーはというと、桑田佳祐の『波乗りジョニー』をテーマにしたいと梅舟さんが池田さんにリクエストしたらしいけど、池田さんが梅舟さんによくよく聞いてみると、何か深い思い入れがある訳ではなく、





つい、こないだ街で流れているのを初めて聴いて、いいなあって! もう、パーッとなにかがひらけた感じがして!もう、なんとなくです!



だって(笑)。









あっ、たしかに、パーッとひらけた感じがするする!





で、物語の舞台は鵠沼海岸で、サーフィン大会にジョニーがでるとかでないとか、『波乗りジョニー』と関係なくはないけど、はっきり言ってもう全然関係ない(笑)ジョニーに恋する乙女となぜかその子に絡まれることになったもう一人の乙女。その子は彼氏に初めて水着姿を見せようとウキウキした気持ちで海にきたのに、「ジョニー!ジョニー!」と鵠沼海岸の着替室で愛を叫ぶ女に言いよられて、、、そんな恋するふたりの乙女が延々となじり合うドタバタ喜劇!





はぁー、まったく、なんなんだ、こいつらは….





ちゃんちゃらおかしいから呆れて物が言えないのだけど、ふたりの乙女の感情の起伏、表情の変化、イニシアティブをとる・とられるの駆け引きが滑稽であり、可笑しくて思わずクスクス笑ってしまって、なんだかまるで激しい荒波をサーフボードで疾走するような爽快感があった!





そして最後には…





あっちゃー





ブロークバック・マウンテン』をこれでもか! というくらいにくだらなくした感じかな(笑)








(2)『仲良きことは』作・喜安浩平 出演:川村紗也 梅舟惟永






舞台はスタバ。これまたふたりの乙女が延々と繰り広げるガールズトーク。仲良いふたりのなんでもない会話が延々と… すでにスタバに3時間もいるというのだから、、、





おいおい、まだ話し続けるのかよ。





いったい何時間店にいるつもりだよ。友達の結婚式に出るとか出ないとか、スタバの店員さんがどうだとか、お互いに彼氏がいるとかいないとか、もうどうだっていいじゃないか、どうしてこの程度の話題で3時間も話し続けられるんだよー





で、





延々と話し続けて、ひとの悪口を言ったりしていると、仲の良いふたりがお互いにお互いを疑い始める。





「えっ? もしかして彼氏いるの? 私に隠してない? ね、本当に隠してない?」





いやー、ちょっとしたボタンの掛け違いから疑いはじめてしまったら、どんどん行っちゃうよねー、だって本当のことは絶対に分からないのだから無限後退の負のスパイラルだよ。





ひぇぇえええええええーーー





女の子の仲良し2人組っていうのはよく見かけるけれど、「そのふたりの関係がどう保たれているのか?」って異性からは謎だし、女性同士でも理解しえないことってあるよね。そのあたりの真理をうまくついた会話劇でした。





で、





この作品でも一番面白かったのはふたりの女優の演技力。梅舟さんは先ほどのハイテンションな駆け引きとはまた違って、一見、女子大生やOLにいそうなふうで、でも時々、かぁあああーっと熱くなって判断力を失ってしまうおかしな子(笑) 対して川村紗也さんはクロムモリブデンの『こわくないこわくない』以来、彼女の演技を何度か観ているけれど、今回のようなどこにでもいそうな女の子を演じるのを観るのは初めてだったから、今までとはまた別人に見えて新鮮でした。こちらもちょっとおかしな子なのだけど、間のとり方や含みの持たせ方が絶妙でした。








(3)『春告花』作:奥山雄太 出演:斎藤加奈子 梅舟惟永






この作品は、他の作品とはだいぶん毛並みが違った。30分のショートストーリーで演じきれるような内容ではなく、2時間くらいの作品に仕立て上げてようやく語れるというくらいの壮大な話。作者は《ろりえ》の奥山雄太さんで、僕は《ろりえ》をまだ一度も観劇したことがないのだけど、他の作品も観たくなる非常に興味深いテーマだった。



テーマは同性愛。昨今、同性愛に対する理解は深まりつつあって、男性同士、女性同士が付き合うことには「ま、いいんじゃない」という感じで受け入れられるけど、彼ら、彼女らが年をとって死ぬまでの一生というのを、はっきり言って全然想像したことがなかった。奥山さんはそこを描いた。



同性のカップルであっても、当然別れることもあるだろうし、別れた後にすぐに恋人がみつかるとは限らないし、あるいは同性同士でいても家族が増えることはないから、どんなに相手を好きであっても、しばらくするとやっぱり子どもが欲しいという思いに駆られることもあるだろう。





そりゃ、あるだろう。





この作品によって、いままで考えたことのない盲点をつかれたというか、そういった問題を今後考えていかねばならないよな、と思わされた。





そして、本作品でいえば、斎藤加奈子さんの演技が圧巻だった。同性愛者の若いカップル時代と別れて独り身になった老年時代をたった30分の間で、瞬時にスイッチを切り換えて演じきる力に感服した。そして特に老年期の姿に心を打たれた。





いやー、これ、けっこういい作品だよなー





『ジョニー』はともかく(笑)、この『春告花』は、『ブロークバック・マウンテン』に匹敵する大作になる可能性を秘めた良作だと思う。













(4)『父はマニラに行きました。』作:岩崎う大 出演:鹿野 斎藤 梅舟 川村





本作品は、四人姉妹の会話劇。




鹿野真央(長女)


斎藤加奈子(次女)


梅舟惟永(三女)


川村紗也(四女)



実際の年齢の順番は分からないのだけど、鹿野真央はいかにも長女であり、斎藤加奈子さんはいかにも次女であり、梅舟惟永はいかにも三女であり、川村紗也はいかにも四女であった。





不思議だよなー





こういうのを観ていると人間っていうのは、演技で本当にどうにでもなれてしまうのだと思うし、演劇を観る本質的な楽しみ方が分かったような気がした。



ストーリーは、母親を10年前に亡くした父親が新たなパートナーをみつけて、突然マニラに行ってしまったというもの。四姉妹が実家に集まって、その事実を全員が知ったことによって、様々な会話が飛び交う。四姉妹それぞれの性格が出て、たくさん発言する人がいれば、全然発言しない人もいる。それぞれの役割が、誰が言うでもなく、なんとなく自然にきまっていく。家族のつながりが揺らいだり、バラバラになったり、また寄りを戻したり。





人間関係の微妙な変化を表現するのは、やっぱり演劇が一番!








ふたたびバレンタインデー





きょうは2月14日バレンタインデー





そんな日に、男ひとりで女性だけがキャスティングされた公演を観に行くのだから、下心がまったくないとは言えない。はい、それは認めます。



でも女性だからといって鼻の下を伸ばして観ていたわけではなく、観劇していて惹かれたのは、彼女たちの「演技」であった。





演劇の魅力は演技にあり!





そんな演劇の原点に、僕を導いてくれた素晴らしい公演でした!





熱演ありがとねえ!





そして、お疲れ様でした!





温泉にでも行ってゆっくり体を休めてください。





では最後に本公演のテーマソングを!











《追記》俳優が企画する公演について




劇団を主宰する劇作家や演出家が公演を立ち上げるというのが一般的であり、今回のように俳優が公演を立ち上げるというケースは非常に珍しい。俳優が自ら企画して公演をするとなると、これはもう俳優の職能の範疇を超えており、賛否が分かれると思うが、私は賛成する。



私はあくまでも観客という立場でしか演劇を観ていないが、劇作家・演出家が企画して公演を立ち上げるスタイルにも良し悪しがあるように客席で観ていても感じる。端的に言うと、俳優にとっての自由度が極めて低いと感じるのである。



劇作家・演出家が企画して公演を立ち上げるというスタイルは、劇作家・演出家と俳優とが二人三脚で成長しているときは良い。両者の性格上、俳優は職人肌であり、自分の演技に没頭するタイプが多いだろうし、劇作家・演出家にはリーダータイプが多く、公演を企画するという意識が常に働いている。だから通常はこのスタイルがうまく機能している。



しかし問題だと感じるのは俳優の成長にとって、しばしば不都合が生じるということである。劇作家・演出家と俳優、両者の成長の足並みが必ずしもそろう訳ではない。例えば劇作家は自らの成長の場を演劇から小説や映画へと拡げてゆくこともあろうし、成長が止まってしまうこともある。その場合、俳優は新たな活動の場を求めてオーディションを受けたり、事務所と契約してオファーを待つということになる。たいてい俳優は柔軟に対応して、どのような作品であってもきっちりと役をこなすだろうが、自分の成長に結びつかない、正直出たくない作品に出ねばならないことも多々あるだろう。



また俳優の職能は、劇作家や演出家が要求する演技をいかに為すかであるが、ただ単に言われるままにやっていたら、やはり駄目であろうし、自らの意思も示さねばならないと思う。しかし、この意思の示し方が俳優にとってはものすごく難しいようだ。俳優は表現者であり観客に与えるインパクトが強いから、一見意思の強い人に見られがちだが、台本がなかったり、演出家がいなければ何もできないという人もいる。極端な話、職能による一種の人格障害の兆候を示しており、学習能力は異常に高いけれども、自らの意思で行動する能力が極端に低い、そんな俳優もいるように思う。



やや踏み込んだ話になってしまったが、演劇界全体の発展、健全性を考える上でも俳優の意思表示がなされるチャンスが、公演を営む仕組みのなかにもあったほうがいいし、今回のように俳優が企画する公演というのがもっとあっていいと思う。当然それを実現するのは大変だし、難しいし、失敗のリスクも高いので、公演数としては数えるほどしかないだろうが。



そういう意味でも今回の梅舟企画『ありがとねえ!』は非常に興味深い公演であった。














阪根タイガース


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阪根タイガース日記


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北九州芸術劇場プロデュース『彼の地』









《演劇》北九州芸術劇場プロデュース




タイトル: 『彼の地』



脚本・演出: 桑原裕子


■■出演


岩本将治  大神拓哉(企画演劇集団ボクラ団義)


尾崎宇内  佐藤恵美香(飛ぶ劇場)


椎木樹人(万能グローブ ガラパゴスダイナモス)


上瀧征宏  高野由紀子(演劇関係いすと校舎)


高山実花(モンブラン部) 高山力造(village80%)


寺田剛史(飛ぶ劇場)  服部容子


平嶋恵璃香(ブルーエゴナク) 美和哲三(14+)


吉田砂織(川笑一座) リン(超人気族)


脇内圭介(飛ぶ劇場)


若狭勝也(KAKUTA)佐賀野雅和(KAKUTA)異儀田夏葉(KAKUTA)



■■スタッフ


美術:田中敏恵
照明:岩田守
音響:雑賀慎吾
衣装:真行ひとみ(black2id)
演出部:山本祥太
    早樋寛貴(万能グローブ ガラパゴスダイナモス)
照明操作:大崩綾 遠藤浩司
音響操作:松岡大志郎
演出助手:守田慎之介(演劇関係いすと校舎)
テクニカルマネージャー:吉田敏彦
舞台監督:森田正憲(F.G.S.)
大道具:F.G.S.
宣伝美術:トミタユキコ(ecADHOC)
宣伝写真:重松美佐
宣伝ヘアメイク:橋本理沙(万能グローブ ガラパゴスダイナモス)
ポスター貼り:プスターハリス・カンパニー
広報:松本京子
票券:松岡美純
制作:黒崎あかね 安部智子 千葉乃梨子
プロデューサー:能祖将夫
劇場支配人:濱野佳代子
劇場顧問:津村卓



■■日程・場所


【北九州公演】
2016年2月2日(火)〜7日(日)北九州芸術劇場 小劇場


【東京公演】
2016年2月12日(金)〜14日(日)あうるすぽっと(豊島区立舞台芸術交流センター)





 感想文:「場所」


北九州の土地柄なのか? 桑原裕子さんの人柄なのか? 出てくる人びとのひとりひとりから、俳優の演技のひとつひとつから、何とも言えない温もりが伝わってきた。ノスタルジーというのとはまた違う温もり。



これは何だろう?



僕にとっては、北九州という場所に思い入れがまったくない。行ったこともないし、門司にしろ、八幡にしろ、若松にしろ、戸畑にしろ、かつて製鉄所や港が栄えていたということは日本史の教科書を通じて知っているけれども、今はどうなんだろう?



また中心部の小倉についてはTOTOの本社があるというのを建築の仕事をしていたから知っているけど、他にどんな企業があるのか? 町の経済がどうやって成り立っているのか? よく知らない。



あっ、そう言えば、北九州市立大学という大学があって、めったに出てこないのだけど、全日本大学野球選手権に出てきた年があって、その時投げていたのが中田賢一という投手で、「このストレート持っていたらプロで通用するだろう」と神宮球場のバックネット裏で観ていて、当時で言えば、一場投手に続く高評価を与えたら、中日のスカウトが取って、プロ入りして、10勝をあげる投手にまで成長して、今はチームが福岡ホークスに変わったけれど、まだ現役で投げ続けている。ちなみに彼は八幡高校出身。





中田賢一投手




ま、こんなマニアックな話をしても誰も反応しないだろうし、多くの人びとが、僕と同じように、北九州という場所に親近感をもったり、愛着をもっていたりということはないだろう。しかし、にもかかわらず、北九州をテーマにした『彼の地』という作品は、僕のこころに響いてきたし、多くの人びとにも響く。



なぜだろう?



例えば、演劇や小説で「恋愛もの」というジャンルがある。「恋愛もの」はよく読まれるし共感される。僕もブログで日記を綴っていて、誰に読んでもらおうというのではなく、日々のこころの動きを記録するという趣旨でやっているのだけど、ふだんはほとんどアクセスがないし、渾身の劇評を書いてもアクセス数は大して伸びないのに、失恋したときの日記のアクセス数はぐぐっと伸びた(笑)。だから、「人の気持ちを惹きつけようと思ったら恋愛ネタの一つや二つ書いたらいいんや」という邪心が働いて、その手の作品がよのなかにちらほら出回っているので、「恋愛もの」は下に見られがちだ。しかし誰もが経験しているというか、いろいろ考えたり、自分たちだけのドラマがあったり、運命を感じたり、個々人がみなそれぞれの恋愛観を持っているからこそ共感されるのであり、恋愛は人が生きていく上で切っても切れない根源的なものなのだろう。決してバカにできない。



それで『彼の地』が「恋愛もの」なのかと言えば、そうと言えなくもないけれど、言うなれば「場所もの」。そのようなジャンルがあるのかないのか? よく分からないけれども、『彼の地』を観て、「場所」というのは人が生きてゆく上で、人に対してとても強く作用してくるのだと改めて感じた。「恋愛」と同じく「場所」も、人生において、切っても切れない普遍的なテーマなのだ。



『彼の地』には様々な人びとが出てくる。北九州に留まり続ける人、東京から来た人、外国から来た人、逆に北九州から出て行った人、出て行ったけれども戻ってきた人、北九州との関わり方には色々なパターンがある。さらに北九州にいても、サラリーマン、お店をやっている人、ヤクザ、精神を病んで入院している人などなど。いろいろな人がいるけれど、やっぱりみな何かしら北九州という「場所」とつながっている。



僕も住む「場所」をこれまでにいくつか変えてきた。高校までは神戸にいて、大学への進学を機に東京に出てきて、卒業後都心が嫌になって、相模原に引越した。Jターンというのか、都落ちというのか? 神戸にいたときには相模原に住むとは思っていなかったし、縁もゆかりもない場所だったけれど、けっこう居心地がよかった。ま、事情があって最近また23区に引越してきたけれど。



それで、僕の話はどうでもいいのだけど、誰に聞いても、その人の人生と「場所」というのは強い関わりをもっていると感じられる。例えば海外で生活している人の大半は日本の企業に勤めていて海外勤務を言い渡された人で、そのような企業に所属しているからこそ海外で仕事をして生活ができるのであり、その場所と本当に関わっているかといえば怪しい。しかし、そうであっても聞くところによると、その人の人生に海外で生活したということは大きな影響を与えているらしい。グローバル化の影響で世界中どこへ行っても大して変わらなくなってきたとはいえ、それぞれの「場所」はやっぱり異なるし、そこに住む人びとと密接に関わっている。



「住むんだったらどこに住みたい?」



と問われて、「ハワイ!」とか「沖縄!」ってすぐに答えてしまうのだけど、それは暖かいところでのんびり暮らしたいという幻想であって、実際に仕事をしてということになると現実味が一気になくなる。ハワイでする仕事というのはまったくイメージできないし、村上春樹のように小説を書いて過ごせるならいいけど、そんなことはまずないし、あるいはヤングエグゼクティブがビジネスを成功させて収入を確保した上で、ハワイに移住するということはあっても、僕にそんなことができるとは思わない。それに例え、僕が村上春樹やヤンエグになったとしても自分の営みとその場所が関わりを持っていなければ、生きている心地がしないのではないかと、そのようなかたちでハワイに住むことを否定的に思ってしまう。



それでは、「僕はなぜ東京にいるのだろう?」



『彼の地』を観劇して、そのような疑問が沸いてきた。正直に言えば、特に理由はない。どちらかと言えば消去法であり、他の場所に住む理由がないからというのが正直なところ。すごく淋しい意見だ。



そうではなく、なにか、もっと積極的な気持ちで東京に住むか、あるいはもっと積極的な気持ちで他の場所に移り住みたい。そうするために『彼の地』に出てきた人びとが、何かしらのヒントを与えてくれたように思う。





《作家・俳優》についての感想




本作品は、九州で活動している俳優とそれ以外の地域で活動している俳優が混ざっているのだけど、意外なことに、両者の区別がほとんどつかないくらい溶け込んでいた。いかにも九州って見せつけるような感じがなかった。でも九州っぽさがない訳でもなかった。また、「これは九州ではなくて東京でしょ」ってことはなく、やっぱり九州だった。



なぜ両者がああも溶け込んだのか?



作・演出の桑原裕子さんは九州出身ではなく東京出身らしい。でも東京とは言っても町田だから一般的にイメージされる東京ではない。僕も相模原に住んでいたから何となく分かるけど、町田・相模原・八王子というのは都心に通勤している人もいるけれど、地元で働いている人が多い。大手メーカーの工場がけっこうあって、中小の工場も多い。人びとの動きが郊外というほどは都心を向いていない。町田は小田急も通っているから郊外という感じもするけれど、町田駅相模原駅八王子駅は地方都市の駅前の雰囲気がすごく出ている。このあたりは首都圏だけれども地方都市の趣きが強い。



そういったこともあって、桑原さんをはじめとする九州以外のメンバーも北九州という「場所」にすぅーっと溶け込んだように思う。アフタートークで桑原さん自身が、「町田で生まれ育った自分は北九州とは通じているけれども、ヒルズ族やオシャレな代官山を舞台にした作品を書けと言われたら書けないだろう。書いてみたいけど(笑)」と言っていた。



『彼の地』は出演者が19名という大所帯にもかかわらず、阿吽の呼吸で役者同士が動くという一体感があって、また舞台を包み込んでいたあの温かい雰囲気は、北九州という場所の雰囲気であり、なんとも言えない桑原さんの人柄が出ていたのだと思う。俳優陣がみんな桑原さんを信頼していて、姉貴として慕っているというのが客席にいる我々にも感じられた。僕の勤めている工場にも似たような雰囲気の人がいるけれど、桑原さんは茶目っ気たっぷりでありつつも佇まいは凛としていて、むかしレディースの特攻隊長でもやっていたのではないかと思わせるような人望の厚さと統率力! いやいや桑原さんはやっていないと思うけど(汗)、元隊長クラスの人ってすごく優しいんですよ。ホントそんな感じ(笑)。



そういった温かい雰囲気がどこからともなく出ていたなー



さて。俳優では九州を地盤に活躍する高野由起子さんや脇内圭介さんが印象的だった。「九州=九州男児=気質が荒い」というイメージではなく、すごく「柔らかくて優しい感じ」が伝わってきた。



それからランクをつけるのはよくないけれど、



本作品のNO.1は異儀田夏葉さん!!



異儀田さんは北九州ではなく埼玉の出身のようだけど、桑原さんと同様に、北九州との相性がものすごくいいのだと思う。何度か観た異儀田さんの作品のなかでも、本作品が一番しっくり馴染んでいたように思うし、北九州に居ることで、東京にいる異儀田さん以上に異儀田さんらしい異儀田さんが発見されたように思う。




いい観劇でした☆




ありがとうございました!!













阪根タイガース


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